アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夏の章二 清明(せいめい)
-
閑静な住宅街を、一台の車が通り過ぎる。
可児日出子(カニヒデコ)が自宅に着いたのは、日付が変わる頃。
珍しくリビングの窓から灯りが漏れていて、今朝方の会話を思い出す。
──そういや、友達連れてくるて言うてたな。
玄関の扉を開けると、息子の早生が、スウェット姿で立っていた。
「おかえり」
「…ただいま。何や珍し。玄関までお出迎えとは。友達は?」
「寝た。さっきまで起きてたんやけど」
「もう? まだ、十二時前なのに。お子ちゃまか?」
かかっと笑う。
「頭フル回転させたからな」
「ホンマに勉強みてんのや。自分は大丈夫なん?」
「うん」
「ふーん、たいしたもんや」
日出子はリビングに入ると、ソファに身体を投げ出し、一日の緊張を解すように伸びをした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
50 / 115