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夏の章二 清明(せいめい)
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「あんま飲み過ぎんなや」
「いいから、いいから。あんたも飲むか?」
「法律家が、未成年に酒勧めてえぇのんか?」
「とか言って、飲むんやろ?」
「飲みます」
「ん。グラス、持っといで」
可児は食洗機に伏せたままのグラスを取り出し、日出子に渡す。それを受け取った日出子は、楽しそうに梅酒を注いだ。
「あんな、おかん。遊命にうちのこと話したから」
「ふーん、したら何て?」
「ふーんて」
「へぇ…器がでかいんやな」
「あんま深く考えん質みたい」
「いい性格や。その子とは、色々話したかったな」
グラスの中の琥珀色の液体が音をたてて揺れた。
「明日話せばえぇやん。仕事?」
「朝からな。クライアントあってのお商売やし、しゃーないわ」
日出子が、あーあ、とソファの上でもう一度伸びをした。
「早いならもう寝たら? 俺ももう寝るし」
「ん。あんま、おいたすんなや」
母親として釘を刺すことも忘れなかった。
「遊命曰く、『高校生の性欲、舐めんなよ』やて。俺もそう思うわ」
「さっきも言うたやろ。保護者舐めてんのか。大人しく寝なさい」
可児は、ハハ、と笑うだけで返事をしなかった。
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