アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夏の章二 清明(せいめい)
-
「…どこ行ったらえぇねん」
「知るか。そんなもん自分で調べ」
早生の細やかな抵抗も、虚しく一蹴された。
検査施設を探す。
パソコンを使えば造作もないことだった。
検索で、『エイズ検査 横浜市』と打ち込めば、膨大な数のホームページがヒットする。
横浜市内で検査を受けられる施設は多数あった。
各福祉保健センター、土曜検査会場、日曜検査会場、夜間検査会場、特定のクリニック。
検査日時は各々に決まっていて、予約のいるところと、いらないところ、料金の有無、検査結果の出る速度などが違っていた。
クリニックでは概ね有料で、即日結果だった。
調べてみて、初めて分かったこともあった。
自己検査キットもあるが、無認可であること。
匿名で検査が受けられること。
感染機会から三ヶ月たった検査の方が、より確実な結果が出ることなど。
可児の目の前に、医療保健施設に関わらなくてはならい現実がぶら下がる。
保健施設に、何かしら支障があるわけでもないのに、二の足を踏む。
虫歯になっていると分かっているのに、行きたがらない歯科医院に似ている。
三ヶ月後、遊命といるとも限らない。
そもそも二人揃って受けるものなのかどうか。
なんて、逃げ口上が次々出てくる。
何にせよ、遊命の承諾を得ないわけにはいかないとなると、どう切り出したらいいのか、可児は迷っていた。
「ふーん、真面目だな、おまえ」
「!?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 115