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夏の章三 夏ぐれ
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「不安やったんか?」
恋人の問いかけにも、長谷川は答えなかった。
「幸せやけど、先が見えへんとか、そんなちっちゃい隙間に、不安って広がったりすんねんな。男女の仲でもようあるで。ましてや同性同士やし、暢さんには、別れても帰る家があるわけやから。あ、これはうちが憶測で言うてるだけやから、違ってたら違うって言ってな」
「……」
四人の視線が集まる中、長谷川は誰とも目を合わそうとしなかった。黙り込んだまま、あの空白だった時間を蘇らそうと、頭の中を反芻していた。
誰もが、長谷川の答えを待っていたが、口を出したのは別の人物だった。
「なんやったら、暢さんの帰る家なくしたろか?」
見かねた日出子が提案をした。
「え?」
「はぁ!?」
「何言うてんねん、日出子」
日出子を除く、男四人が目を丸くした。
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