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一緒にお風呂
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お湯が張った浴槽とにらめっこし始めて、もう5分近くたった。
無理矢理浸からせるわけにもいかず、私はただそれを見守っている。
「あの…入らないんですか?」
「え…これに入るのか…?」
「当たり前でしょう…」
「こ、このゆらゆら揺れてる白いのはなんだ?」
「お湯ですよ、入浴剤が入っていて白く見えますが…」
「お、おゆ…?…にゅーよくざい…?」
「ええ…」
私は頭を抱えそうになった。
どうやら彼は、最低限の生活に必要な知識さえ忘れてしまっているらしい。
「…これに入るなんて…こ、怖いよ…」
「怖くありませんよ…?…ただの温かいお水です」
「こわい…っ…」
彼は水面から視線をはなし、私にしがみついた。
寒さが理由の震えとは別の理由で震える体を抱き締めてやると、少し落ち着いたのか肩の力が抜けたのが解った。
「本当に…怖くない?…痛いことしない…?」
「ええ、もちろん。少し試してみますか?」
手桶で湯槽のお湯を掬い、彼と私の足元にかけて見せる。
「っ…!…あったかい!」
「でしょう?」
お湯がかかった瞬間にびくりと体を揺らした彼だったが、すぐに慣れたようだ。
もう一回、もう一回と、手桶でお湯をかけるのをせがみはじめる。
「どうです?…そろそろ浸かってみませんか?」
「う、…うん…、解った…おじさんちゃんと見ててね…っ」
「はいはい…」
彼がおずおずと片足を湯槽に入れていく。
その表情は最初こそ怯えていたようだったが、お湯に浸かっている部分が増えていくのと比例してその顔はほころんでいった。
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