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退院してから
すでに2ヶ月が過ぎていた。
あれから大きく体調を崩すことなく
生活を送れていた。
毎週末は葵に会いに病室を訪れ
部活にも変わらず勤しんでいた。
あと1週間で夏休みに入ろうとしていた。
「おーい、優!
夏休みどーする?
どっか遊びに行こうぜ!」
「んー、いいけど日帰りな!」
「おいおい。
せっかくなら泊まりで海とかだろ!」
「いやー、諸事情があって。」
「ノリ悪いなっ!
いーよいーよ。
他のやつ誘って行って
彼女作って帰ってくるよ。
後で悔しがったって
知らねーからなっ!」
「大丈夫。俺は信じてる。
お前に彼女はできない。」
「くそー!みてろよー!」
そう叫びながら
走って行った友人を見ながら
ひとつため息をつく。
そりゃあ俺だって行きたいさ。
でも強い光に当たると顔が
真っ赤になって大変だし
熱とかすぐ出ちゃうようになったし
そんなので行ったって
皆の迷惑になるしな。
それに…
葵に会いに行けなくなる。
夏休みは部活も忙しく
ただでさえ学校があるときに
会えないぶんを
一緒に過ごそうと考えているのに
貴重な時間を他に使うわけにはいかない。
最近考えることがある。
葵は何の病気なのか。
俺が退院してから数ヶ月が
たつというのに入院したままだ。
ものすごく重い病気だったとしたら…
考えたくないけれど
命に関わる病気だったとしたら…
1日、1分、1秒だって
無駄にしてはいけないのではないか。
俺はまだ病気について
詳しいことを葵に聞けてない。
聞いてしまったら
わかってしまったら
辛くなるかもしれないから。
このまま何も知らずに
楽しく過ごせたらそれがいいと
思ってしまっている。
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