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「なんでですか!少しくらい…」
「気持ちはわかります。
僕は長谷川くんが
入院して来た時から
ずっと見てきましたから。
入退院を繰り返して
満足に外にでることもできない。
それでも笑顔を絶やさず
他人にあそこまで優しくなれる。
できることなら
僕だって長谷川くんの望みを
叶えてあげたい。」
先生はまるで
自分の子供の願いを叶えてやりたい
という親のようだった。
「…っ!!だったら!」
「でもやはり
医師としてそれを認めるわけには
いかないんです。」
まっすぐ
俺の目を見て言ったその顔は
さっきとうってかわって
医療者の顔だった。
「俺は臆病者です。
知るのが…考えるのがこわくて…
知ることからも考えることからも
逃げて…後回しにして…
今まで来てしまいました。
知らなければ
葵と一緒にいられる、
変わらず…いられるから。
でも先生に外出許可を
もらいに行くって決めた時に
ダメだったら逃げることをやめて
きちんと知ろうと覚悟して来ました。
…先生、教えてください。」
「たくさん悩んで
たくさん考えたんですね。
高槻くんのような友達ができて
長谷川くんは幸せ者ですね。
しかし、
教えることはできません。
守秘義務というものがありますから。
それに、本人の口から
聞くべきだと僕は思います。
君はもう、様々な可能性を踏まえて
考え抜いた結論をだしたのでしょう。
でもまだ聞くべきなのか
長谷川くんに近づいても良いのか
迷っている部分も
あるように見えます。
もう一度
自分の気持ちと向き合ってみて下さい。
後悔しないように。
どちらを選んでも
2人が仲良くいられることを
願っていますよ。」
そこまで言うと
久我先生は回診のために
その場から看護師とともに
去っていってしまった。
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