アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
19
-
こんなに苦しいなら好きになんかならなきゃ良かった
締め付けられる胸の痛みが俺をもっと苦しませる
あの日の大きな木は何も咲いていなかったが、今ではサクラの花が咲いている
風になびくそれは、元気を出してと言われているみたいだ
ははっ…情けねぇー
思い出のサクラの木を眺めていれば、俺の背後からふと足音が聞こえる
いつもならそんな事は気にならない。
…あの一言さえなければ……
「もうサクラ咲いてんのか。早いな」
俺が好きな声。優しい音色で今一番聞きたくない声。
ゆっくりと振り返る
「……な、んで…いんの…」
そこにはコートに両手を突っ込み、俺と同じくサクラの木を眺めている先生がいた
拳を握りしめ、目線が下になる
俺には予想もしない行動で弄ぶ先生
気持ちは溢れてくるばかり。
何を考えているのか分からない真顔でこちらへと向かってくる
「何で…何でここにいんの!」
これでもかと言うぐらいの声で叫ぶ
思い出にしようと思っていた計画が段々壊れ始める
「なんか悩んでんのかなーって思って、ここに来たらビンゴだった」
地面を見ている俺の足元にもう一つの足が見える
顔を上げれば柔らかく微笑む人がいる
…もう、…駄目だ。
とめどなく溢れてくるこの気持ちにもう嘘は付けない
「……………き…」
「え?なんて?」
「…先生が、好きなんです!」
その場ではあるが俺にも行動する事ができた
今の気持ちのままに告げた俺は、フラれるだけだと思い再び下を向く
だから、先生が怪しい笑みを見せてるなんて知るはずもなくて…
俺は腕を急に引かれ柑橘系の匂いに包まれる
抱き締められたんだと理解したのはそう遅くはなかった
俺の顔を両手で挟みグイッと上げさせる
無理矢理上げさせられた俺は訳も分からない状態なのだが、そんな事はお構いもなしに唇が重ねられる
軽く合わせられたそれは柔らかくて、キスだと分かれば体温が上がった
「良く出来ました」
口端を上げてニヤリと微笑む彼の顔は物凄く近くにある訳であって、俺はただただ目を見開く
「俺は元々気に入ったものは早く手に入れたい主義なんだ。悪いがお前は俺が貰う」
初めて言われたクサイ台詞も胸が弾む
「もう少し先生と生徒の仲良しこよしに付き合ってあげても良かったけど。まあ、仕方ないか」
………………あれ?
どう言う事だ?
「…先生、もしかして俺が好きなの知ってたんですか?」
恐る恐る口にする。意地悪そうな笑みが俺に確信を与えた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 114