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願いごとならたくさんある。
あれもしたいし、これもやりたい。
新しいサッカーボールやゲームも欲しいし、行きたい場所だって山ほどある。
10歳の少年の頭の中はそんな希望達であふれていた。
だけど、叶えてくれるのはひとつだけだ。
ああ、ソウゲツ。
僕が欲しいのは......
僕が欲しいのは......!
王子はキュッと固く瞼を閉じると、指先にありったけの想いを込めて最後の攻撃を繰り出した!
*****
「(来たな?)」
大佐はそれを確認すると、待ち構えるようにスウっと腹に空気を溜めた。
「(ようし。ここで大笑いしてやろう)」
この勝負、もちろん最初から負けてやるつもりでいる。
軽い気持ちで遊んでみたものの本気で向かってくる王子が可愛くて、あの手この手で取り組み続ける小さな姿がさっきからいじらしくてたまらなかったのだ。
気持ちを暖めてくれた幼い奉仕に、ご褒美をやりたい。
ふふふ、きっとこの子はサッカーボールが欲しいと言うぞ。
そんなことを考えた。
まさにその時だ――。
「ううっ......!?!?」
思いもよらない衝撃。
大佐はそれを身体全体で察知した。
「(こ、これは......!)」
一瞬おぼえた目眩から立ち直ると、すぐさま出所を確かめる。
すると、信じられない光景がそこに......。
「お、王子様......」
声を引きつらせながらも、大佐はマジマジと王子のすることを凝視してしまった。
きっとこの子は何も考えていない......。
ただただ勝負に勝ちたいあまり、目を瞑って闇雲に攻めてきたはず。
そして今、一生懸命戦っているのだ。
「(私の息子と......)」
さて、どうしたものか......。
大佐はこっそりと熱いため息を吐き出した。
もはや「大笑い」のタイミングは、すっかり逃している。
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