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別離の理由
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祈るような心地で告げたケイルの言葉に、ガイザックは僅かに戸惑いの表情を見せた。
そしてふうっと大きく息をついて、
「何だよ。急に。オマエ、言うのがおっせえよ。そーゆーのは、直ぐにいわねえと効果ねえんだぜ」
ガイザックは困った表情で、長い髪を掻きあげてバリバリと音をたてて掻き毟っている。
突然の事に、照れているのだろう。感情が表情やしぐさで手に取るように分かる単純な思考も全て15年前と一緒。
「貴方を救ったのが俺だったら良かった。そうしたら離れないで済む」
そうしたら、ずっと一緒にいられる。
貴方を苦しませるようなことはなかったのに。
言外に告げる言葉に、僅かに目を伏せてガイザックは首を横に振った。
「オマエじゃなくて良かったと俺は思うよ」
返ってくる静かな声に、ケイルは表情を硬くした。
抱きしめた体の温かみと、背中に回る腕の強さに拒否感は覚えない。
「……そんなに、俺に抱かれるのは嫌ですか?」
やや、絶望をはらんで相手の拒否の言葉に問いを投げた。
「そんなこたァ、まー、どーでもイイよ。誰でも歓迎しちまう身体なんだし、誰にだって抱かれてやる。そういう問題じゃねえよ。……王殺しは死罪だ。賞金がかけられて追われることになる。しかも、オマエはこの組織を動かしていて、顔も売れている。そうすっと……見つかり易いし、行動が難しくなる。作戦もかなり限られてくる。合理的に考えて、逃げ切るのは難しくなる」
返ってきたガイザックの返答に、ケイルは拍子抜けした。
感情を図星に取り繕って、危険な目に合わせたくないとか表面的な偽善の言葉がくると思っていた。
ガイザックの言葉は、理屈が通っていると言えば、通っているのだ。
拒絶ではないが、納得はいかない。
理屈を並べてもどこかで、拒絶されているんではないかと疑ってしまう。
「じゃあ、俺が今貴方を抱きたいといったら、応えてくれるのですか」
試すわけではなかったが、ケイルはこの言葉に対しての答えをきかなければ納得はいかなかった。
一瞬ガイザックの腕が強張り、肩がぶるぶると震える。
ケイルは、どこかでやはりと思い落胆に肩を落とした。
やはり、理性のある彼は自分になど抱かれるのは屈辱なのだろう。
そんなこと分かっていたのに……。
瞬間。
「ブハハハッ、ケイル、オマエイイ歳して、盛りのついた十代じゃねえのにソッチの事しか考えてねえのか」
堪えきれなくなったとばかりに、けたたましく声を弾けさせ身体を揺すって、笑い声を響かせるガイザックにケイルは呆気にとられた視線を返した。
パンとケイルの背中をおもいっきり叩いて、
「そーだな。さっきはイイとこ邪魔されて俺も不完全燃焼だ。責任とってもらおうか」
耳元で吐息まじりに囁かれれば、ケイルはごくりと喉を鳴らし密着した身体をじっと眺めた。
拒否でもなく、微笑みは15年前のあの頃と変わらず美しく優しい。
こんなに自分は変わってしまったのに、目の前にいるガイザックはまるで変わらず、以前より艶を帯びて色っぽかった。
「ガイザック……」
ケイルは首筋に唇をあてて、ゆっくりと肩を押してその身体を草の上へと押し倒した。
15年分の想いを込めて。
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