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でもやっぱり
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「でもなぁ〜、口端といえどキスされたの」
「うっ……」
「どっち?」
「み、右」
「ふぅ〜ん……」
「ご、ごめんなさい」
悲しそうな顔をして右の口端を撫でる。耳が垂れた犬みたい。
とりあえず、この体勢をどうにかしたい。この向かい合って綾の膝の上に乗っている状態を。
毎度この体勢になっている気がする。いや距離は近いから安心するけど。
今綾の手は口端と腰の位置にあって身動きが取れない。
降りたいけど腰にある手がぐ、と引き寄せていて降りれない。
「あ、綾降りた…」
「キスしていい?」
「………はっ、はぁ!?」
「したい」
「えっ、ちょ、やだよ!人に見られたら…この体勢だってやばいのに!!」
「え〜駄目?」
上目遣いで寂しそうに言われると、ちょっと揺らぐ。
でも流石にここでは見つかった時の言い訳が見つからない。
「う……」
「う?」
「い、家………帰ってから、ならいいよ……」
消え入りそうな声で、顔を真っ赤にして呟く。まるで俺が誘ってるみたいになったじゃないか。
実際キスなんて数える程しかしたことない。
だから、心の準備だって欲しい。
「…………あ、綾?」
「も〜やだなんでそんなに可愛い瑞貴……ほんと離したくない」
ぎゅっ、と抱きしめられて、首元に鼻を擦り寄られる。
くすぐったくて、心地よい。
「家に帰ったらしていいの?」
「きっ、聞くなよ」
「分かった、いっぱいキスする」
そう言って笑う綾に心拍数が上がる。
さっきまでのドキドキは冷たかったのに、今のドキドキは身体があったかくなる。
やっぱり、綾が好きなんだと改めて自覚をする。
抱きしめられて、どこにおこうか迷った手は首の後ろにそっと回した。
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