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「翔、可愛い」
俺が飲み終わるまで、雄哉はそう言いながら俺の額にキスをする。
「ありがとう…。雄哉」
飲み終わってから、そう告げると雄哉が蕩けるような笑顔を見せる。
「どういたしまして。明日、検査が終わったら美味しいもの食べさせてやるからな」
俺がコクンと頷くと、雄哉が俺の両膝に手を回す。
いわゆるお姫様抱っこだ。
「翔、トイレは?」
そう聞かれて首を振る。
「じゃあこのまま、ベッドに直行だな」
雄哉は器用にリビングの電気を消して宣言通りベッドに行く。
まず俺を布団の中に入れてから、雄哉も潜りこんできて、俺を抱き締める。
雄哉はポンポンと俺の背中を叩く。
「翔、俺はここにいるよ。翔がどんな時でも特に悲しい時は抱き締めてやる、って約束したんだ」
雄哉の鼓動が聞こえてきて目を瞑る。
さっきまでの不安が嘘みたいに今はとても安心する規則的なリズム。
「だから、どんな時でも俺に翔を抱き締めさせて?」
俺はそんな約束を覚えていない。
だから無理して守ることもないのに。
…でも俺も雄哉にどんな時でも抱き締めてほしい。
口には出させないけど…。
「翔が大好きだよ、翔…」
俺も…、って言いたいけど言えない。
雄哉の邪魔になりたくないから。
俺は雄哉の鼓動を聞きながらそのまま眠りについた。
「どうしたら翔を救えるんだろうな…」
と、雄哉がどこか遠くで呟いたような気がした。
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