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袋に入ったピンクのテディベアを見る。
もうそろそろベンチに帰らなきゃ雄哉が本気で怒るだろうな…、
と思うけど…。
まださっきの女の人がいたら…?
いやいるならまだいい。
もし二人でどこか行ってしまっていたら…?
ベンチに雄哉の姿がなかったら…?
一人ぼっちにされていたら…?
…嫌だっっ!!
そう心が叫ぶ。
でもそれが言えない自分。そんな自分が嫌で大嫌い。
もし俺もあの事故で死んでいたら、雄哉にこんなにも迷惑を掛けずに済んだ。
こんな俺みたいなお荷物を雄哉は抱えることはなかった…。
もしお兄ちゃんが生きていたら自分の足で何とかしていたかもしれない。
俺には一人で出来ない事が多すぎて、一人で歩くことができない。
俺は雄哉から離れて生活ができない。
退院したら施設に行くものだと思っていたのに、
雄哉が引き取ってくれた。
そんな優しい雄哉に俺は何も返すこともできなくて、迷惑しかかけていない…。
だからといって一人は嫌なんだ…。
さっきよりも段々と呼吸が荒くなっていく。
少し耳も聞こえにくくなってきている。
どこか座って身体を休めたい。
でもベンチには戻りたくない。
俺は我慢して、もう少しだけゲーセンにいることに決めた。
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