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ピンクのテディベアの袋を閉めて歩き出そうとした時、腕を力いっぱい引っ張られる。
「うわっ…!」
「翔、まだゲーセンで遊ぶつもりか?俺、ベンチで待ってろ、って言ったよな?」
そこにいたのは雄哉だ。
声がいつもより低く、口調も荒い。
「なんで素直に待っていられない?いないとドキっとするだろうがっ!いいか、翔、俺から逃げられると思うなよ?」
雄哉が顔を近づけて言うけど、
その時、普段の雄哉からしない甘い香りがほのかに漂う。
さっき雄哉をナンパしていた女の人がつけていた香水だろう。
移り香するほど、雄哉の腕にずっとくっついていたのかな…。
俺がいなければ、雄哉はさっきの女の人と結婚できていたのかな…?
そう、俺がいなければ…。
ダメだ…。息が吸いにくい…。
「翔…?」
雄哉が顔を顰めると、俺の手を引っ張りゲーセンを出て、さっきのベンチに俺を座らせる。
雄哉は地面に片膝をついて俺と視線を合わせる。
「翔、ゆっくり息を吸って。ゆっくり。そう上手」
雄哉はいい子と言って優しく俺の頭を撫でる。
「今度は吐いて。…そう、いい子いい子。上手だよ、翔。もう一回ゆっくり息を吸って」
雄哉はまた頭を撫でる。
何度か繰り返していると少しだけ呼吸が楽になってくる。
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