アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
57
-
「翔、少しは呼吸できるようになった?」
俺が小さく頷くと、雄哉は片膝をついたままどこかに電話を掛けた。
「あ、内藤さん?俺、雄哉だけど。…ああ、挨拶はいいからさ。今、ショッピングモールに来てるんだけど、どこか寝られるところあるかな?ないなら今すぐ用意してほしい。かなり急ぎでお願いしたいんだけど…」
俺は深呼吸を繰り返す。
雄哉は電話の間もずっと俺と視線を合わしてくれて、いい子、と声を出さずに頭を撫でてくれる。
俺の頭を撫でてくれる雄哉の手が気持ちいい。
「ああ、俺の可愛いお嫁さんが体調を崩しちゃって…。え?今、3階のゲーセン前」
まだ俺をお嫁さんと言ってくれることに嬉しくて、
俺は自然と笑顔を零す。
そんな俺を見て雄哉はクスッと笑ったのを気づかなかった。
「まっすぐ行ったらマッサージ店があるからそこの個室を使わせてもらっていいんだ。…わかった、今から行く。急なのに用意してくれてありがとう」
雄哉が電話を切る。
「…ご…、めん…なさい…」
まだ呼吸が完全に整っていない中、俺は小さな声で謝る。
また雄哉に迷惑をかけてしまった…。
「なんで翔が謝るの?翔は何も悪くないでしょ?とりあえずマッサージ店行こうか?」
返事をする前に雄哉が俺を持ち上げる。
しかもお姫様抱っこ。
周囲からどよめきみたいな声が上がるけど、雄哉は無視してスタスタと歩いていく。
男が男をお姫様抱っこという異様な光景に周りの視線を集めてしまう。
雄哉はここの会社の経営者の一人なのに…。
こんなに目立ってしまっていいのだろうか。
つい雄哉の顔を見てしまう。
それだけで俺の言いたいことが、雄哉にはわかったのだろう。
「気にしなくていいから。翔は体調が悪いんだから素直に甘えて。恥ずかしいなら顔を隠していいよ」
俺のせいなのに自分だけ隠れて、雄哉だけが目立つようなことだけはできない…。
小さく首を振ると、雄哉はクスっと笑う。
数分も立たない内にマッサージ店に着き、店員さんに案内されて一番奥の個室に通された。
雄哉はベッドに俺を寝かす。
「どう?少しはマシになった?」
そう聞かれて小さく頷く。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
64 / 344