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七海美鶴の言及①
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優馬が面談部屋を出て教室に戻る途中、廊下に七海美鶴が立っていた。
同じクラスで、常に特待生の座を狙う優馬のライバルであったが、普段互いに話すことはなかった。
面談の順番にはまだ早いだろうと訝りながら前を通り過ぎようとすると、七海が話しかけてきた。
「おまえ、菊池の次のオモチャかよ」
「!」
優馬は七海のほうに向き直った。
「なんの、こと?」
「菊池に本気になるのだけはやめとけよ。あいつはオモチャを見つけては遊び捨ててるサイテー野郎だ」
「!…七海、きみも…?」
七海はキッと優馬を睨んだ。
「俺は!おまえとは違う!!ウザいんだよおまえっ!」
七海は優馬の胸ぐらを掴んで吼えた。
右手は拳を握り今にも手が出そうなのをぐっと堪えた。
戸惑う優馬を睨みつけながら言葉を続けた。
「おまえもそのうち捨てられんだよ!」
ドン、と優馬を押して七海は去って行った。
優馬は嵐のような出来事に呆気に取られた。
「なん、なんだよ…」
崩れた制服を整えながら優馬は七海の言葉を反芻した。
菊池に本気になんてなるわけないじゃないか。もう何度もキライだと伝えている。
でも…
俺だけじゃなかった。俺は何人かのうちの一人に過ぎなかった。
それがなんで悔しく感じるのだろう。
「…も〜っ!」
七海の言葉と菊池の言葉、そして優馬の気持ちが錯綜し、いたたまれなくなって優馬は嘆いた。
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