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【気づいたこと】*遥燈side
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う、ううむ……。
一週間が経ったが、一向に返事が分からない。
アドバイスをくれると言った姉貴は、仕事が入ったのか忙しくしていて、邪魔をすることは出来ないし。
かと言って相談できる人もいない。
しくった……。結人みたいな友人作っておけばよかった。
結人は多分、もう少しで謹慎が解けるだろうから、それはそれで別の話を……。
あぁー…………んー……。
返事の出し方がわからない。
こういう時はあれか?本屋か?
本屋で何かアドバイスを貰ってくるか。
適切なアドバイスがあるかもしれない。
……1人で恋愛コーナーに行くのも気が引けるけど……。
ここはファイトだ。
*
学園と本屋は割と近くにあった。
何を買ったらいいのか……。
ん?『誰でも叶う!恋愛術!』
これは嘘っぱちだな。それに恋愛テクニックを知りたいわけじゃないしなぁ。
「お客様、何かお探しですか?」
「あ、えっと、告白された時の返事の仕方っていうか、本当にその人でいいのか……みたいなアドバイスがある本が欲しいんですが。」
「なるほど…。それなら、こちらの本はいかがですか?」
そういって店員が差し出した本には、
『恋愛についての本。』と書かれていた。
題名を考えるのが面倒だったのだろうか……。
「中には、先ほどのアドバイスもちゃんと載っていますし、恋が実った時の、デートの仕方などについても詳しく書かれていますよ。」
こ、恋が実った時?
その話題こそは要らないが、……買っていこう。
アドバイスがないと答えを出せないから、買うしかない。
値段は1400円と少し高めだ。
恋愛の本は高いのか……。
「ありがとうございましたー。」
ぺこりと礼をして本屋から出た。さ、早く家に帰ってこの本を読もう。
姉貴にも、答えは早めに出しておいた方がいいって言われたし。
どんな答えが出るかな……。
*
「よし、読むか。」
家に着くと、早速本を読み始めた。
3章に恋愛の判断という題で書かれていた。
多分、ここら辺であってるだろう。
んーと……何々……?
その1!好きだと言われて、ピンとくるか!
その2!触れたりして、ドキドキするか!
その3!性格や見た目は、自分好みか!
……うん、一番最後のは置いておこう。うん。
自分好みかは大切かもしれないけど……。
恥じらいもなくデカデカと書かれている。……役に立つのかな、この本。
えーっと、まずは、好きだと言われてドキドキしたか。
……ドキドキはしたけど驚きで心臓の拍が上がっただけと思われる。なにせ人生初の告白ですから。
はい次!
触れたりしてドキドキするか。
誠くんに触れられてドキドキ……。
はしなかった。ただ、何やってんだろ俺って恥ずかしくなった。
で、好み?
……まず同性だから好みとかない。対象が異性だったら、大人しい系の本とか読んでそうな黒髪の女の子かな……。学級委員長とかやってそうなイメージがする。控えめだけど、仕事に対しては凄く集中してやったりとか。
そういう子が好きかもなぁ。
……じゃあ俺は誠くんが好きじゃない?あっさりと答えが出たけど、なんか違う。
確かに俺は、誠くんを恋愛感情として見ていない。でも、好きなことには変わりない。友人として。
もしかしたら、泣いてしまったあの日、少しだけでも誠くんに惹かれていたのかもしれないな。
誰にも気づけなかったことを、本人にすら分かんなかったことをスパッと言い当てて、怖気付くことなく告白してくれた誠くん…。
……いや、惹かれていた、はないか。
どちらにせよ、やはり俺は誠くんを選ばなかった。
誠くんはそれに気づいていた。
それなのに俺は2週間という、誠くんにとっては地獄のような期間を与えた。
……分かっていない……。
しっかりしろ、俺。
誠くんは俺を救ってくれた1人なんだ。そんな人に地獄を与えちゃいけない。明日にでも伝えよう。
誠くんに。
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