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ep2
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「多田ぁ、金貸してくんない?」
「え?で、でもこの前貸したばっかで僕も金欠...」
「は?毎日貰ってんだろ?昼飯代」
自殺に失敗した翌日。
昼休みの時間になってすぐに俺をいつも虐めてる三人がやってきた。
手に持った財布を握りしめたのを目敏く見つけた奴が俺の手から財布を奪う。
「いち、にー...三千円だけかよ!」
「つかえねー」
ケラケラと笑いながら財布から三千円を抜かれ、空っぽの財布が床に落とされた。
胸からせり上がってくる怒りと不快感をいつも通り抑え込む。
「ゲーセン行くべ~」
「だな」
「次はもっとママから金貰ってこいよ多田ぁ」
俺を見下した笑いを浮かべながら三人は教室から出て行こうとして、誰かにぶつかって止まった。
「あん?テメェなん...げッ!」
「なにそのゴキブリ見たみたいな反応」
三人の顔が青ざめる。
ぶつかった相手は藤吉君だった。
「つーかなにその金、またカツアゲ?誰から取ったの~?」
「か、関係ねぇだろ!!」
「関係あるけど?」
藤吉君は俺をチラッと見て小さく笑った後すっと三人を見た。
「それ多田の金でしょ」
「...っ、テメェ...なんの根拠があって言ってんだ!?」
「お、おい、やめとけって、相手藤吉だぞ...!」
キレ始めた男を仲間二人が宥める。
藤吉君その様子を冷たい目で一瞥してから俺を見て言った。
「お金取られたんでしょ、ねぇ多田?」
「えっ、あっ、いや...あの...」
お金を取られたって素直に言ってしまったら後であの三人にきっと殴られる。
でも俺は昨日自殺しようとした。
殴られるくらい屁でもない...気がする。
言葉を詰まらせる俺を藤吉君がじっと見てるのを感じて手汗が滲んできた。
いつの間にか教室に残ってた生徒達が離れて遠目で俺達を見ていた。
ゆっくりだけど口を開く。
「......と...取られました...」
「テメェ!!!」
言った途端に虐めっ子の一人が殴りかかってきて椅子ごと倒された。
いきなりの事に心臓がバクバク鳴る。
「あんま調子乗ってんなよ多田ぁ!!!!」
殴られる。
そう確信して目をギュッと閉じた直後にドゴッと鈍い音がした。
自分が殴られた音かと思ったけどどこも痛くない。
恐る恐る目を開ける。
「あーあ。ねぇ、大丈夫?」
藤吉君が笑って手を差し出してくる。
足元にはさっき俺に殴りかかった奴が鼻血を流して倒れてた。
教室中の視線を集めながら藤吉君の手を取って立ち上がる。
「コラ、何してるんだ!?」
騒ぎを聞きつけてきたらしい先生が教室に入って早々藤吉君を怒鳴りつけた。
でも藤吉君は飄々とした態度のままだ。
「...こいつが多田を殴ろうとしたから止めようとして勢い余って殴っちゃっただけです」
「馬鹿野郎!!後で職員室に来い!!」
「はーい」
藤吉君がだるそうに返事をする。
ただ今までほとんど見てただけの俺はどうすればいいのかと迷っていると藤吉君に腕を掴まれた。
「あっ、あのさぁ先公、多田とおれケガしてるから保健室行っていい?」
「どこも怪我してる風に見えないが...」
「いってくんね~」
先生の言葉を無視して藤吉君は俺の腕を引っ張って教室を出た。
後ろから先生が「この倒れてる奴も連れてけ!!」と叫んでたけどそれも無視するらしい。
「ふ、藤吉君、なんでこんな事を...」
「えー?言ったっしょ」
俺の腕を掴んで進みながら藤吉君は前を向いたまま言った。
「おれがイジメ止めるかわりに、おれと付き合うって言ったじゃん」
「付き合っ...」
そうだった...たしかに俺、そんな事聞いた。
自殺を止める為の適当な言葉だと思ってた。
藤吉君が顔をこっちに向けて笑う。
よく見たら綺麗な顔をしてるなぁと思ってる俺に藤吉君は衝撃的な発言をした。
「恋人同士になったんだし、セックスでもしよっか」
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