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電話の男 4
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「ほぼバイト先とマンションの往復しかしてないみたいだから寂しいかな〜と思って来たのに、まさかこんな近くの人間と仲深めてたとはねぇ」
「お邪魔してすみません。僕はここで、失礼します」
「え?お帰りになるんですか?もう少しお話してみたいなぁ」
有無を言わせないような雰囲気を纏う千景さん。
…な、なんで?なんか話すことある?
ていうかそんなの蓮見さん絶対嫌がっ
「いいんですか?嬉しいお誘いありがとうございます」
いいの?!
2人ともニコニコと友好的で。
俺だけなのかな…千景さんと蓮見さん、微妙すぎる関係だと思ってるの…。
それにしても美形の笑みって、素敵だけど威圧感?っていうのかな、凄みが利いててすっごい居心地悪い…!
とりあえず座りましょうか、なんてソファーで談話し始めたふたりを横目に珈琲を淹れる。
「遅くなりすみません。僕、こういう者です」
「あぁ、ありがとうございます。頂戴します。
蓮見 晄士さん、ですね。
〇〇社ですか…澄和のバイト先の最寄りの駅前にある所ですね」
蓮見さんから名刺を受け取った千景さんは、意味ありげな笑みを浮かべてそう言った。
「よくご存知ですね」
「いや、たまたまです。
申し遅れました。どうぞ」
逆に千景さんから名刺を受け取った蓮見さんが固まる。
「……柊 千景(ひいらぎ ちかげ)、さん…」
「少しばかり、危ない仕事をしているもので」
千景さんの唇が綺麗な弧を描く。
蓮見さんが固まった時点でもしかして、とは思ったけどまさか本当にそっちの名刺を渡すなんて…
千景さんは2つの名刺を持っている。
普通の名刺とそしてもう1つは
────''組の長''としての名刺。
それは、黒字に白で名前だけが書かれているもので。
あまり名刺としては役割を果たしていない。
が、受け取った者が感じる独特の気迫があり、権威やステータスを知らしめるには充分だった。
「…っそうなんですか。
それより、柊 千景さん。柊という苗字は、あの…」
「はい。澄和と同じですね。
蓮見さんが考えてらっしゃる通り、
俺が、澄和の保護者だ」
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