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電話の男 5
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晄士side
目の前で圧倒的存在感を放ち妖艶に微笑む
柊 千景という男。
醸し出すオーラは完全に裏社会のそれで。
思わず怯みそうになるのを耐え、視線を交わしたままでいると彼から控えめな笑い声が漏れた。
「すごいですね、珍しい。
堅気で目逸らさない人なんてなかなかいませんよ」
「あの、千景さん…!」
それまで黙っていた澄和が堪えられないというように口を開いた。
「ん?」
「ん?…じゃないですよ!
いいんですかそんな……」
「いやぁダメだよね普通に。こんな簡単に名乗る組長いないよー。
けど、保護者としてもうちょっと関わっていく必要があると思ったから。
…ねぇ?」
……シンプルにイラッとした。
余裕があるその顔にも、
普通の友人へ向けるものとは違う、澄和に対する俺の感情に気付いてることにも。
話題の核である当の本人、澄和は何のことかあまり良く分かっていないみたいで終始ワタワタしている。
「まぁ、そうですね」
「ははっ。冷たいなあ。
じゃ、本当の邪魔者は帰るとします !
珈琲美味しかったよ澄和。ありがとう」
立ち上がりジャケットを手にする柊さんを見送ろうと澄和も動こうとしたが、手で制される。
「今日はお見送りはいいよ、下で人待たせてるし。
それに、誰かさんが怖いからねぇ。
おやすみ」
全く怖くなさそうにしといて、よく言う。
「…あっ。あと澄和?
ハーフパンツの時に胡坐かくと足の付け根の黒子見えちゃうよ?
まだ寒いし今日みたくスウェット履きな。
狼に気をつけなねー」
嫌味ったらしい分かりやすすぎる比喩だ。
……ん?
というか、この前澄和がハーフパンツ着てたこと、この人はなんで知ってる。
手をひらひらと振り颯爽と去っていった柊 千景に俺も澄和も掻き乱されっぱなしで、変な空気が流れた。
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