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信用 1
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荒々しくドアを開けるとベッドのそばで蹲る澄和がいて、慌てて駆け寄り抱き起こした。
「どうした!大丈夫か!?」
「…っすいません、ちょっと目眩がしただけです」
俺の腕から抜け出し自力で立つ澄和だが、血の気を失った顔色はすこぶる悪い。
「蓮見さん。今日は泊まりますか?
もしそうなら、ベットメイキングしとこう!と思って」
…まだふらついてるだろ。
えへへ、と笑う澄和が酷く痛々しい。
「…あ。あんな話聞いた後で、嫌ですよね。
すいません…」
黙る俺に勘違いしたのか泣きそうに笑う。
…んな訳ないだろ。
言葉を飲み込みその肩をとん、と押す。
簡単に倒れそうになるその身体を、そのままなだれ込むようにベッドに押し倒した。
「えっ…ちょ、……っ蓮見さん?!」
「なあ」
射抜くように見つめると、澄和の瞳が不安そうに揺れた。
「俺には、頼れない?」
「…ぇ?」
「まだしんどいだろ。辛いだろ。
…それ、俺には言えないの?」
綺麗な目が悲しげに伏せられて。
言えないんだろうな、と感じた。
同時に頭に浮かぶのは、余裕に満ちたあの綺麗な笑み。
柊 千景には、言えるのか?
澄和の苦痛や不安、嫌なことも全部分かってやりたいのにできない。
澄和自身が周りに透明な壁を建てている。
それがどうしようもなく悔しくて、唇を噛み締めた。
「…ごめん。変なことした。
……………今日は帰る」
傷ついたような澄和の顔と伸ばされた手を
見て見ぬ振りして、部屋を出た。
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