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この学校で、やらなければいけないことは
わかっている。
静かに過ごさねばならない。
静かに過ごして
一番大切なあの子の為に
最後にできることを_____。
____シャラン、シャラララン
強い風とともに
鈴がなった。
その鈴の音は、幼い頃聞いた
その声を思い出させる。
『はるにぃ』
『はるにぃは、あやめの世界一優しくて、強い王子様なの。』
その後の言葉は何だっけ。
あぁ、そうだ。
『でも、はるは皆に優しいからイヤ。』
柔いほっぺを膨らませて
拗ねたようにそう言ったんだっけ。
「優しくなんかない。強くもないんだ。」
けれど
どうか
どうかこの一瞬を
この時だけ
君を忘れさせて。
あの家にいる君のことを
少しだけ忘れさせて。
「本当のほんとに最後だ。もう、何を見ても何を聞いても惑わされはしないから。……あやめ。」
眼鏡を外してポケットにつっこむ。
空と同じ蒼い瞳が剣呑さを帯びる。
「それじゃあ、俺はそこの怪我人の白石くんを医務室に連れてくから。」
少し離れたベンチに座る白石先輩の方に
足を進めて、ひらひらと手を振ってくる
保険医の後ろ姿をみる。
「だったら、」
「だったら、何かな?」
保険医が俺の一言に振り返る。
「だったら、貴方たちを今度は踏みにじります。」
「お前が?俺を?」
「僕が貴方達に。教えてあげますよ、この学校でいう……ただ散っていくだけの弱者がただ散っていくだけじゃないってことを。」
「………へぇ?少しそそられるよ。お前」
目の前の
紫色の瞳が細められ鋭さを帯びた気がした。
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