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スタートラインY その3
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「そんでさー、みんなで・・・あ、サッカー部のな。みんなで言うててんけど、今度のクラス会でくっつけたろーいう話になってん。」
「そう、なん・・・誰か分からんのに?」
えらい余計な事しよんねんな・・・。
「予想はつけとんねん。」
誰?口にしようとして言葉が出なかった。
それを察してか、いや、島田は察する事など出来ない。
「・・・・・・多分、津田や思うわ。」
津田・・・。
津田と言えばバレー部所属で色白、清楚系とまではいかないが陽気で明るい穏やかな空気を纏った印象の子だ。
川本はそういう子ぉがタイプなん・・・。
無意識に津田の姿を探したが教室にはいないようだった。
「だからお前も協力せーよ!!」
勢いよく俺の肩を叩いて、引き止める間もなく島田は教室から飛び出して行く。
・・・協力て。
なんという重責を俺に課すのかと島田を恨んだ。
重いため息を吐きながら移動教室の準備をして教室を出る直前、入り口で川本とエンカウント。
「おー、待ってー。次美術やんな?俺も行くー。」
雑に入れられた机の中から器用に教科書を引っ張り出して戻ってくる。
「行こか。」
川本がいつものように半歩前を歩き出す。
その後ろ姿を見ていたら、急に目の前の何もかもを放り出したいような衝動に駆られた。
何も考えたくない。
考えんようにしたって考えてしまうくせに。
気持ちの悪い感傷に一人で浸りたくなり、美術室へ向かう足を止めると怪訝そうに川本が振り返った。
「梶原?」
「・・・・・・俺、ちょっとしんどいから休むわ。先生に言うといて。」
「え、ちょ、」
今は実物を見ている事が苦しい。
川本の返事も聞かずに急いでその場を後にした。
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