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同化欲求 その3
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体育前、体育館脇の古ぼけた更衣室で着替える休み時間。
早々に着替え終えた川本がまた島田にちょっかいを出して、そのうち服を着るタイミングでパンツをずり下ろそうと騒いでいた。島田の最高のリアクションと慌てように周りから笑いが起こる。
俺も同様にそれを笑いながら、目の端に映る影がふと気になった。
日の差す窓側の隅っこ。陰になったロッカーの前ででこそこそと着替えているのは、梶原。
梶原は三年に上がってから初めてクラスが同じになった、冴えない君。
二年の時に川本が島田とスージーと俺の飲み会に勝手に連れてきて、また珍しい毛色の奴と仲良くしてるわ、と驚いた。島田とよく話している空手部のもっさい奴という印象しかない、俺らの周りでは珍しいタイプだから余計に。
肌の色が女の子のそれよりも白いとは思うけれど、それよりも触り心地のよさそうな肌の質感。これが女の子ならぜひとも触ってみたいと思ったのは印象深い。
無口で暗いくせに酒が入ると同一人物とは思えないほど明るく、よく笑う。いつもそういう顔してりゃええのに、と作りは悪くないのに宝の持ち腐れだと思った記憶もある。
「梶原はいっつも誰と遊んでんの?」
「別に誰とも。」
「え、友達いてるでしょ。」
目配せ的な意味合いで島田と川本に視線を向ければ梶原も交互に二人を見つめ、
「おらへん。」
と酒に頬を染めてチューハイを煽った。
「ほな友達なったろうかー、俺。」
特に意味もなく話を繋ぐが
「んーー。いらん。」
と即答。最初から壁のある奴だとは思っていたけれど、人付き合い下手なんかなーと思っていたけれど、壁しかない。
自分で拒否ってるやん。
「俺なぁ、ちょっと。ちょっとだけ酒井苦手やねん!」
多分本人は酔っていて覚えていないだろうその言葉。
しかし学校で会う梶原も、苦手だというその態度を隠しもしないのだからこいつの神経は意外な事にだいぶ図太いと思う。
まぁ俺はどっちにしてもなんとも思てへんからええねんけど。
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