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「俺ん家…泊めてやってもいいぞ?」
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「………へっ!!!?」
―ガタッ
「い、たっ…!」
その発言を聞いて驚いて反射的に席を立ってしまいヒビが入っているであろうあばらに響く
先生にジェスチャーで落ち着けと促されあわてて座り直す
一瞬耳を疑った
「えっ、ほ、ほんとに?」
「ああ」
「嘘じゃない?」
「だからそう言ってんだろ」
「お!俺を泊めてくれるの?!」
「しつこいくどい。まあお前が俺ん家嫌ならいいけどな別に」
俺が先生の家を嫌がる可能性を考え始めた先生はスッと目を逸らした
先生のことが好きな俺としてはその行動は俺が嫌がるのを逆に嫌がってるように錯覚しまう
「絶対行く!行きます!」
「でも勝手に人んち泊まったら逆にお前の親が怒んじゃねぇ?」
「いえ怒りませんよ。怒るわけないじゃないですか…あの家俺の部屋とかないんですよ?階段下の物置部屋。それが俺の居場所。
あとは殴られるときに連れていかれる裏庭の土だらけの小屋、それだけ。あの人たちの頭に俺は存在してなんてないんですよ…」
自分で言ってて悲しくなってくる
あの人たちにとっての俺の存在を改めて考えてしまって…もういやだ…
「そうか…よくそんなところで耐えてきたな。お前は頑張ったよ。もうこれ以上頑張るな、俺でもいいから周りの人間に頼れ。もう絶対に頑張るなよ?お前には安心できる場所が必要だな」
先生は机から降りて机に伏せた俺の頭に触れる
指で髪の1本1本を梳いて撫でつける
「今日は早めに切り上げて帰るか。お前夕飯何食べたい?」
「リクエストしてもいいんですか?」
「お前の口に合うかどうかは知らねぇけどな、俺の料理でいいなら勝手にしろ」
「う〜ん………」
夕飯のメニュー…
いつも家ではろくな食べ物にありつけていない。残り物ばかりだったから
俺が知っている数少ない料理から一つ食べたいものを探し出す
うんうん唸って考えていると先生はクスリと可笑しそうに笑って俺を見る
「そんな悩むことじゃねぇだろ?
目つきの悪い先生はそこまで表情が変わらない
でもたまに見せる緩んだ笑顔が俺は好きだった
「…オムライス…」
「オムライス?」
「うん」
「オム…っくははは!そのとしでっ、オムラっい、あっははは!!」
オムライスを選んだのは昔、まだ家族の仲が良かったときにみんなで食べたものだったからだ
俺は元母のオムライスの味が今でも好きだ
あのときの味はもう覚えてないけれどあの暖かさは胸に残っていた
「そ、そんなに笑わないでくださいよ!いいでしょうオムライスでも!!」
「いやだってお前みたいな綺麗な顔してるやつがオムライスって意外すぎ、あははは!!」
「もういいですほかのにします」
「ああーオムライスな!お前の好きなオムライス作ってやるって!美味いから!機嫌直せよ!な?」
わしゃわしゃと髪の毛をかき撫でられ笑顔で顔を覗かれたらもう頭が上がらない
「さあ帰るか。家まで近いから歩きだけど大丈夫か?」
「はい、痛みもだいぶマシなんで歩けると思います」
「じゃあ着いてこい」
ということでイレギュラーな宿泊に同意することになった
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