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部室は汗をかいた部員のみんなが一斉に着替えていて、ムワッとした空気が漂っていた。
ドアを開けて立ち止まる俺を見て、千早先輩はニコッと微笑んで、部室へ入って大きな窓をガラガラっと開けた。
「ほら〜!ムワムワするからちゃんと換気してっていつも言ってるでしょ!」
「ごめん千早先輩〜」
「つい自分のこと先にやっちゃおうとしちゃうんだよね」
「次からちゃんとしまーす」
窓を開けるとムワッとした空気は無くなり、呼吸が楽になった。
やかんとペットボトルを用具入れに直して部室を出ようとすると、半裸の二年生の先輩達に囲まれた。
「わ…、わわわ……!!」
「広翼かーわいい」
「まじ千早先輩に続く癒し系キャラ〜」
「俺たちのことしっかりお世話してね」
れーくん以外の男の人にこんなに近くに立たれたことなくて、僕はどうすればいいのかパニックになっていると、グイッと腕を引っ張られて先輩の中から抜け出した。
「先輩、すみません。広翼は人見知り激しくて」
「れーくん!」
僕を引っ張ったのはれーくんで、勢いのままれーくんの胸の中に包まれた僕はドキドキしながらもれーくんのYシャツをギュッと握った。
制汗剤とほんの少し汗の匂いがして、それがなんだか落ち着くなぁと目を閉じると、後ろからヤイヤイとガヤが飛んで来た。
「なんだよ!もう部活内恋愛始まってんの?!」
「てか何!元からなの?!カップル入部か?!」
「えー!!俺、広翼狙ってたのにー!!」
なんだか部室内がパニックである。
キョトンとする僕とれーくん、気にもとめず部室の隅で着替えを続ける足立くん、ふふっと楽しそうに笑う千早先輩、そしてガチャ…と音がして部長が入って来た瞬間にみんなが固まった。
「あと5分で下校時間だから揉めてないでさっさと着替えろ!!!」
部長の怒声でさっきまでとは違う騒めきが起こり、着替え終わった部員が次々と部長に頭を下げて帰っていった。
「悪いな。別に部内恋愛は禁止じゃないから安心しろ。おまえらもさっさと片付けて帰れよ」
「あぁ…、えっと、俺たち別に恋愛とかじゃなくて幼馴染でずっと一緒にいただけなんです。だから特別仲が良くて」
「ん。まぁどっちでもいいから早くしろよ?まじで下校時間破るとマズイから」
「はい!じゃあ失礼します!帰るぞ、広翼」
また否定されちゃったな…。
少し寂しい気分のまま終わってしまったが、千早先輩や晴人先輩、たくさんの優しい先輩がいて、大好きなれーくんがいる部活は明日からもとても楽しみだと思った。
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