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僕はいつもどおり、れーくんと門へ向かう。
夏に近付くにつれ、日が落ちるのも遅くなった。
今日は雨だから暗いけど、晴れの日はまだ明るいくらいだ。
「先輩たち、ナンパナンパって、中学生の男子なんかに見向きする女の人いるのかな?」
「たしかに…」
れーくんがクスクスと笑っているのを見て、少し安心した。
れーくんはそんなことしないんだって分かったから。
僕も笑顔を返すが、れーくんが不思議そうに前を見るので僕も目をやると、門のあたりがざわついていた。
「誰、あれ!可愛いんだけど!」
「四葉学園の制服じゃね?しかも高等部?」
「誰か知り合い?それとも彼女か?」
紅夜学園の門に集まる人の中心には、女物の傘。
そしてその影には見覚えのある顔があった。
「あっ!麗音くん!」
「えっ……?」
キラキラとした笑顔でこちらに向かって手を振ってきたのは、紛れもなくあの朝にぶつかった女子高生だった。
無視するわけにもいかず、とりあえずその人の前に向かう。
「あの…、どういったご用件で?」
れーくんは少し困ったような表情をしていた。
当たり前だろう。
こんなにたくさんの視線を浴びて、おまけに相手は綺麗で可愛い年上のお嬢様。
嬉しそうな表情をしていないだけ、まだ心が救われた。
「この前はぶつかってしまってすみません。それに、学生証まで届けていただいて…。これ、お詫びです」
「いえ、お気持ちだけで結構です。俺は当たり前のことをしただけなので」
「受け取ってくださらないんですか?それじゃあ、私の気持ちが晴れません…。それとも、麗音くんは洋菓子はあまりお好きじゃありませんか?」
「あの、そう言うわけではなくて…。と言いますか、どうして名前を……」
「あ!ご、ごめんなさい!私、どうしても貴方の名前を知りたくて、事務の方に執拗に尋ねてしまったんです。不快ならすぐにやめますし…」
「あー…、えと、せめて名字で呼んでいただけると…」
「わかりました!海堂くん、これでいいかしら?」
女の人はれーくんの表情が見えてないのだろうか。
僕も先に帰るべきなのかわからずに、その場に立ち尽くしていた。
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