アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
酒場を目指して②
-
――――ドンッ
「おい、急に立ち止まってんじゃねーよ!!おかげで、転びそうになったじゃねーか!」
「……ご、ごめんなさい。」
ふいに、足を止めた僕の体と後ろから歩いてたナギの体がぶつかり、ナギが不満げな表情を浮かべながら言い放ったため、僕はハッと我に帰ってナギへと謝る。
「……マコトの恋人くん、急に立ち止まって、どうしたの?」
「えっと……僕の気のせいかもしれないけど、どこからか歌声が聞こえた気がして。皆は聞こえなかった?」
ミストが転びそうになったナギの体を支えながら、不思議そうに僕へと尋ねてきたため、少し遠慮がちにミストの問いに答える。
「こんな時間に、歌声など聞こえる筈もないだろう。酒場が閉まる前に、早く行くぞ。」
「そ、そうですよね……ごめんなさい。」
ミストやナギや誠が、僕の問いに答える前にサンの冷静な言葉が返ってきて、僕はサンに謝ってから、再び灯りを目指して歩き始めた。
もう少しで、灯りの着いている建物に辿り着く。
どこからか聞こえてきたような気がした歌声とは別に、他にも気付いた事がある。
それは、僕らが目指している灯りの着いた建物の近くには、海が広がっているという事だ。先程から、夜風に乗って、潮の香りがする。そして、微かにザアザアという波の音も聞こえてくる。
もしも、昼間であるならば、さぞかし美しい青い海が、僕らの目に映っていることだろう。
しかし、今はあいにく夜なので、青白い月の光が仄かに海面の一部分を照らしているものの、ほとんどは真っ暗な海面しか目にすることが出来ない。
「あ、ほら……やっぱりここだよ。シン様が言っていた酒場って!看板に《ティーナの酒場》って書いてあるよ。」
どことなく嬉しそうな、ミストの声を聞いて、僕はハッとして前を見つめる。
そこには、確かにミストの言うとおり、《ティーナの酒場》と書かれてある看板があった。
僕が、真っ暗な海をボーッと見つめながら歩いていると、いつの間にか、灯りの着いている建物に辿り着いていたのだ。
「よし、開けるよ………」
そう言いながら、ミストはゆっくりと灯りの着いた建物のドアを開ける。
―――ガチャッ
――キイッ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
74 / 477