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○月×日『未練』
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「……先輩…」
自分の唇がそう動いた。
視界が悪い。
頬がびっしょり濡れてる。
…自分は泣いていたのか……
嫌な夢を見た。
もう4年も経ったのに、鮮明に…
ゆっくり布団から出る。
顔を洗うために洗面台まで行って、鏡に映った自分の顔を見て情けなくなった。
もう傷一つない頬に、痛みを感じる。
先輩に2度殴られた。
1度目は少し理不尽な理由で、2度目は……当てつけに矢野昂平と寝たから。
好きあって、近くにいても、先輩とは距離があった。
4年経っても先輩を夢に見るなんて、しかも良くない夢ばかり。
冷たい目で見られたり、殴られた瞬間を夢に見ては目が覚める。
そんな時自分は今日みたいに泣いているか、びっしょり汗をかいて飛び起きる。
暫くは見ていなかったのに、また悪夢に襲われたのは、先輩に似た男に出会ったからなのか……。
「…………先輩……」
最後に告白して、終わらせたはずだった。
未練は残さないように…。
情けない。
情けない……
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