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教師が部屋を出ていってから20分くらい。
どんだけ話てんだってそろそろ眠くなりだした頃、やっと指導室のドアが開いた。
欠伸をしながら顔を上げると俯いた羽白とどこかニヤついた教師が入ってくる。
「で、どうなったのさ?」
「羽白、座れ。」
「…っ、……」
小さな吐息だけが聞こえる。
俺の前に羽白が座ると教師はニヤと一度笑い羽白の背に触れ問いかけた。
「羽白。お前、森宮に何されたんだ?」
「…な、…っ…ぐ、られ……っ」
「は…?」
「殴られたんだな?」
「…、…は、い…っ…」
机をひとつ挟んだ距離でもわかるくらいに羽白の体が震えていた。
こんなの普通じゃない。
俯き垂れた髪の隙間からボタボタと涙が落ちているのも見える。
コイツに、…何されたんだ。
「らしいぞ森宮?」
「おい、お前何した。」
「何?」
「羽白に何したって聞いてんだよ、どう見てもおかしいだろこれ…っ!俺がどう言われようがどうでもいいけどな、羽白を無理やり丸め込んだなら許さねぇから、…な…」
「ひ、っ…ぅ……」
大声を出して椅子を蹴飛ばしたところでようやく気付いた。
羽白が声を聞く度に震えてること。
泣きじゃくる息が詰まっていること。
それが 俺に対しても同じなこと。
俯いた羽白の前にしゃがみこんで下から顔を覗き込む。
クシャクシャになった顔は涙に濡れて何も見えなかった。
「…羽白。ごめんな、大丈夫か?なぁ、落ち着けよ。ちゃんと息しないと死ぬだろ。お前さぁ、…ほんと弱い奴だなぁ。」
「ごめ、…んな、さ…、ぃ……っ…」
羽白の片手を握って何度も大丈夫、と繰り返した。
何が大丈夫なのかは知らない。
もーちょっと早く気づいてたらなぁ。
そうだよな、羽白。お前少し前まで。
こんなに弱いヤツじゃなかったよな。
普通にクラスで笑ってた。
きっと何かあったんだよな。
気付けなくてごめんな。
「大丈夫だからな、羽白。お前は何も悪くないからさ。もう泣かなくて大丈夫。…大丈夫。」
俺が、ちゃんと助けてやるからな。
「先生、俺。殴ったの思い出した。骨折れてるかもしんないから羽白のこと保健室に連れてって。…俺は、なんでもいいからさ。」
ちょっと待っててな。
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