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しかしそんな鬱々とした気分も館内に入ると吹っ飛んだ。
水族館特有の薄暗い通路を、南倉の後ろから付いていくユキトは海の生き物に早速驚かされる。通り過ぎようとした瞬間に、イルカがヒョッと姿を見せたのだ。「わ!?」と反射的に飛び退く。
「あはは、手厚い歓迎だね」
南倉が笑い、「ほら怖くないからおいで」と隅でビクビクしている中学生を手招く。ゆっくりユキトは近付いた。普段生き物に触れていない少年には未知すぎて怖かった。
――あ…でも可愛い、かも…
イルカは何故か留まってユキトに鼻先を向けている。濁りのない澄んだ黒目が美しく、ユキトは釘付けになった。
ガラスを挟んで動物と少年が見つめあっているのは周囲の注目を集めたが、当の本人たちは気付かなかった。「なにあれ萌える」というギャラリーの声も、南倉がコッソリ写真を撮った音も。
「あー!イルカさんだ!」
その時、ユキトの横から五歳くらいの幼い男の子が駆けてきた。大きな声に耳のいいイルカはサッと身を翻し逃げていく。
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