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ある夕方ドッジは、いつものカフェに寂しげにぽつんと座っている彼を見つけて、飲みに誘った。
そこでいくばくかの感触を得て、二度目に飲んだ時にはベッドに誘った。
彼はあっさりついてきて、三十分後には糊のきき過ぎたモーテルのシーツの上に横たわり、はにかんだ笑顔を浮かべてドッジに抱かれていた。
ドッジは女と同じくらい男と寝るのも好きなのだが、ゲイ的なのは本当にそこだけだった。
それをのぞけば、ストレート人種の間に違和感なく溶け込んでしまう、限りなく平凡な男である。
ぱさぱさしたコーンフレーク色の髪に、中肉中背。
十代後半の頃は一応ハンサムの部類に入っていたが、今はちょっとくたびれた顔で、着る服にはまるでかまいつけない。
芸術的な才能があるわけでもなく、芸能界に片足を突っ込んでいるわけでもない。
その点はサーシャも同様だ。
ただ彼は、男役を演じることしか頭にないストレート延長型のドッジよりも柔軟だし、気が利く。
彼には敏感に相手の心を読む共感力と、単なるテクニックではなく真心から出たと思えるような、本物のサービス精神があった。
ドッジはご満悦で、また少々申し訳ない気持ちになりながら家路についた。
彼は結婚していた。
妻のメイは一人息子を心からかわいがっているが、ドッジのことは鬱陶しがっている。
ありふれた、倦怠気味の夫婦生活だが、浮気していいわけではない。
しかしメイに悪いと思ったというより、その罪悪感の源は主としてサーシャの、ドッジが受け取るには少々分が過ぎるように思われる、献身的な愛情を垣間見たことだった。
したがって、真新しい愛人を思う存分堪能した満足感の中には、名状しがたい微かな不安が混じっていた。
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