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8.研修医
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緋色side
ー2日後ー
いつものように晴の病室に行って、瞼にうっすらとくまを作っている晴を寝かしつけていると、
朝比奈が病室にゆっくりと入ってきた。
「ん?晴、寝てる?」
「そ。だからうるさくしないでよ」
眉間にシワを作ったまま、しー。と口の前に指をあてると、
朝比奈は、はいはい。と自称『大人の対応』で笑った。
マジでムカつく。
俺だって“大人”だっての。
「そんで、何の用?」
「酷いなぁ… 僕は主治医なんだからいつ来たっていいでしょ?」
ニコニコと笑いながら俺の頭を撫でようとする朝比奈の手を、
素早く振り払い、睨み付けた。
「おー。怖い怖い。 まぁちょっとさ、話があって」
怖くないくせに。
ニヤニヤなんてして…
そういうところが苛つくんだけど。
「何?」
「今日からさ、卵 たちの研修が始まるんだよ。 ほら、毎年の…」
「は? マジで最悪」
毎年、この時期にある、研修という名の地獄。
“未来の卵”とかなんとかいう研修医らがやって来て、
俺らの生活を邪魔するあれ。
やたらと構ってくる奴もいるし、
気持ち悪い手でベタベタと触ってくる奴も…
まぁ、点滴下手くそな奴が一番嫌だけど…
マジで痛いし。
とにかく、それが一週間も続くっていうんだから、
『地獄』以外の何者でもない。
「そんなこと言ったって仕方ないでしょ?」
「いや、マジで無理…」
「一応ね、緋色と晴の病室に行く時には僕も同伴させるように言っておくから。さ?」
顔の前で手を合わせてウインクを決めやがる朝比奈を、
可愛くねぇから。と一蹴してから、分かった。と言っておいた。
「マジで無理な奴だったらぶっ飛ばす」
「はいはい。 緋色は優しいからそんな事出来ないくせにね…」
「うるさい!!」
このままだと言い争って、晴を起こしてしまいそうだったから、
手で朝比奈を追い払う仕草を見せ、晴にそっとキスをした。
そして、「僕のことは『先生』で、お願い」去り際にそう頼まれ、
俺は空返事ではいはい。とだけ言っておいた。
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