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今日が早く終わって欲しい、そう何回思ったか。
僕が思い描いていた誕生日は、大貴が12時ピッタリにお祝いしてくれて、和希とか色んな友達もお祝いしてくれて、夜は幸せな時間を過ごす。
それなのに今の現状は最悪。
これは僕が悪いのだろうか。
確かに大貴の言い分も聞くべきだったかも知れない、でももし、浮気してました、なんて言われたらどうしたらいい?
そっちの方が気まずい。
だから自分の行動に誤りはない、と信じたい。
「はぁ、」
もう今日は眠ろう。
お風呂も入ってないし、気分は憂鬱のままだけど、今部屋を出たくない。
僕はベッドに寝転がり、目を閉じる。
しかし、そんな簡単に眠れるはずもなく、スマホを見ると後20分で僕の誕生日が終わる。
早く終われ早く終われ。
僕がもう一度目を閉じた時、ドアがノックされた。
「優、起きてる?」
大貴の声。いつもより少し寂しそうに聞こえるのは気のせいだろうか。
「寝てる?入るよ」
大貴がゆっくりドアを開けて入ってきた。
僕は咄嗟に寝たフリをする。
真新しい大貴の匂いが鼻に広がった。
女の人の匂いはない。きっとお風呂に入ったんだ。
「優、ごめんな」
僕のベッドの脇に軽く腰掛け、僕の頭を撫でながら話し出す。
少しくすぐったい。
「お前きっと俺が浮気してるとか思ったんだろうけど、違うよ」
じゃあなに?
そう聞きそうになったが、グッと堪えて大貴の次の言葉を待つ。
「あれは俺の姉ちゃん。海外に行ったまま向こうで結婚して今は向こうに住んでるんだけど、たまたま今日帰ってきたらしくて、久々にご飯食べに行ったんだ」
大貴の口から出る言葉は驚きの連続で、思わず目を開きそうになった。
「あいつ、海外に住んでるせいかスキンシップが激しくて困るな。姉弟なのに」
困るって言ってる割には、大貴の声は楽しそうだった。
「後で抱き締めたお前が嫌がった理由が分かったよ。姉ちゃんの香水の匂い、付いてたからだろ?外国の香水キツいから嫌だったな、ごめん」
「違うよ」
僕はとうとう声を出してしまった。
でも大貴はそこまで驚いてなかったから、僕が起きてるのを知ってて話してたのかも知れない。
「ん?」
「僕が嫌だったのは、香水がキツかったからとかじゃなくて、大貴に僕以外の匂いが付いてることが嫌だったの」
「……あぁ、そういうこと。ごめんな、もう何も付いてないから、おいで」
大貴が軽く手を広げる。
僕は迷わず飛び込んだ。
大好きな大貴の匂いが鼻を掠める。
「大貴、わざわざ話してくれてありがとう」
「ん、すれ違ったままは嫌だったからな」
「僕もだよ」
僕らはずっと抱き締め合ったままだった。
知らぬうちに、僕は安心感からか睡魔がやってきて、大貴の胸の中で目を閉じた。
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