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そんなわけで、モヤモヤ中。
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家に帰ってからはというと、とりあえず自分の部屋にこもって、俺は例のノートと向き合っていた。
ガラス張りのテーブルに広げられた、一冊のノート。
しばらくして、ついにソファへと体を投げた俺は、ぐぅっと声を唸らせた。
「マジかよ、······なんなの」
もはや真っ黒じゃねぇか、ってくらいページは文字で埋まってて······は?これを?俺がノート見せろって言ったからって?
おいおいおい、どうかしてるよ、沢井。おかしいんじゃねぇの?
あ。もしかして趣味?ノートをまとめるのが趣味だったりする?
──俺の、為に?
ふと過った言葉に、何かが痛む音がした。
冗談じゃないっての。
これだから、やっぱり沢井は何考えてんだかわかんねぇのよ。
さっきから震えっ放しのスマホを取ると、その溜まった新着メッセージに目を馳せる。
そうそう。俺には、俺を溺愛するかわいいかわいい彼女がいるからね。
春休みに遊んだ、他校の友達の友達ってやつ。
自覚してるけど、俺ってモテる方だから。
色んな角度から攻めてくる女の子に感心しながら、付き合ったり別れたりしてたら“チャラい”だとか“女グセが悪い”だとか言われるようになったわけで。
そりゃ言い寄られたらさぁ?
だって俺、女の子だいすきだし。俺だって、巨乳だいすきだし。
沢井も、巨乳がすきで──いや、今は沢井の事なんてどうだっていいんだけどさ。
今までいろんな子と付き合ってきたけど、まぁなかなか上手くいかないのは俺のせいなのかなとか最近思う。
どうしても夢中になれない。
どうしても必死になれない。
ただの単純作業みたいな、恋愛ごっこ。
沢井は、すきな子とかいんのかな······。
てか彼女いたことあんの?
あいつ童貞だったりして──ていうか。
さっきから沢井、沢井って、なに?
そう気付いたのと同時に、手の中のスマホが再び鈍い音を立てて震えた。
俺はため息をついて、黒の抜けた長めの髪を掻いて。
あー······そろそろ生徒指導がうるせぇな、とか考えたりして。
ほらね、やっぱり。
俺の、こういうとこなんだよ。
マジでめんどくさいわ、アヤカ。
お前が俺をどれだけすきか、なんて。
聞いてないし、聞きたくもないから。
「すき」と言われるたびに冷めちゃうのは、今までもそう、アヤカでも、そうみたい。
とりあえず、邪魔すんな。
俺は今──沢井の事を、考えてるから。
『篠崎に、あげる』
あんな顔して······言う台詞じゃないと思うんだけど。
不覚にも“性的な意味で?”って聞こうとしちゃっただろ。いや、ノートをね、ノートをあげるっていう意味なのは分かってんだけどね。
自分で言っておいて、そのあとに見せた沢井の······真っ赤になった顔を思い出した俺は、スマホの電源を切った。
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