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俺のストレス解消法-2
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「何か理由があるんですよ」
「知らない」
「志朗さん~」
俺がそのまま無言で書類だけ取って風紀室に向かったので、鞘も黙ってその後を付いてきた。
「今日ここで仕事していい?」
「え?」
「いいよね(ニコッ)」
鞘が何も言えないのをいいことに俺はガラスのローテーブルに次から次へと書類を並べてゆく。
目の前で俺が感情を剥き出しにした事はなかったから免疫がないのだろう。
鞘は暫くの間ボーっと立ち尽くしていた。
我に返ったように風紀の書類を引き出しから取り出して記入するが、件数が少なくてすぐに終わってしまった。
完全に巻き込んだだけなので申し訳ないんだけど、鞘に気を遣う余裕が持てない。
俺が今日こなすべき書類を用意し終えたので紅茶を淹れにミニキッチンへ立っていく。
「あ、俺やりましょうか」
「お構い無く」
ラベンダーのハーブティーを淹れながら香りを胸いっぱいに取り込む。
肺の中の淀んだ空気が少しだけ浄化された気がした。
「あれ、砂糖入れるの珍しいですね」
二人とも砂糖は入れない派だ。
俺が運んできたトレーの上に砂糖壺が乗っているのを見て鞘は首を傾げた。
「入れないよ」
「じゃあ何で……」
返事の代わりに塊の砂糖をひとつ摘まんで口の中に放り込んだ。
そしてボリボリと噛み砕く。
「……」
無言で目を剥く鞘を尻目に次から次へと砂糖を口へ放り込む。
ストレスが限界まで達したときはやっぱりこれだ。
「なくなっちゃった」
つい数分まで砂糖で満たされていた壺が空っぽになっているのを見た鞘のドン引きも全く気にならない。
「これと同じ砂糖、購買部に売ってないかな」
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