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BL Land「2014 Valentine」Tour{増刊特集}
憂鬱なクーベルチュール③
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初体験の直後の春休みは、全然連絡がなかった。
電話番号もメールも付き合い出した時に交換し合っていたが、かかって来ることも、送られてくることも一度もない。
こちらからメールを送れば必ずいつも短いけれど返事は返ってくるし、出られる時は電話も取ってくれるし、不在着信になれば折り返してもくれる。
けれど、向こうからのアクションはふと気づくと一切ないのだ。
休みの初日や、3日目くらいまではもしかしたら、と待っていた。
けれどそれ以降は連絡がない理由を考えすぎてしまって勝手に落胆したり怒ったりするのに疲れて、なるべく気にしないようにして過ごした。
1学期の登校初日はショックが大きかった。
クラスが分かれるだろうとは思っていた。けれどまさか一番遠いクラスになるだなんて。
1組と11組。本校舎と新校舎で半日を過ごす建物さえ違っていた。
教室で同じ空間にいられないばかりか、廊下ですらすれ違わない。
「クラス、すごい離れちゃったね」
さすがにその日の夜は電話をかけた。
「そうだな」
「全然会えなくなるから、そっちの教室に放課後行くようにしてもいい?一緒に帰ろ??」
「ん…いや…、」
ああ。うん。わかった。じゃあな。全てを一文節で済ます男がはじめて言い淀む。
え、…前みたいに一緒に帰るだけも、もう嫌になった?……休みに連絡がなかったのも、ホントは幻滅したから、とか??
悪い想像ばかりが膨らむ。
聞きたくない。そうは思うけれど、聞かなくちゃ。
息を詰めて次の言葉を待つ。
随分長い間があったが、ふっと息が洩れる音と少し枯れてくぐもった重低音ボイスが耳に届く。
「あのさ、部活入ったんだ、だから一緒には帰れない」
「え…何部??」
「ラグビー」
丸々一年帰宅部で飛んで帰ってたのに、用事があった訳でもないんだ?
3週間電話がなくて、これから偶然の視界に姿を見つけることすら出来なくなるって僕は思ってしまうのに、加賀美はそれで全然平気なんだ???
突然の変化に心がついていかない。叫びだしたいのに、声にならない。
さっきの間よりももっともっと長い間があったが、こちらからの問いかけではない、またはじめての返答が届く。
「ごめんな」
遮断するみたいなその一言は、本心であっても聞きたくはなかった。
まるでこれで終わりなのだと告げられたように感じるのは気のせい?
そしてそっけない男はまた少しの沈黙の後に「じゃあな」とあっさり電話を切ってしまった。
「うん」って僕が返事をしなかった事に、…加賀美、気づいてくれている??
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