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BL Land「2014 Valentine」Tour{増刊特集}
はんぶんこ⑤
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部屋に戻り、コタツの上に広げられた彩とりどりの包み紙の数を数える省吾を横目で視界に入れながら、ゆっくりとカレーを温める。ふんわりと美味しい匂いが漂い始めた頃、晃は省吾にご飯をよそれと声をかけた。湯気のたつ白米の隣に同じく湯気の立つカレーを静かによそい、省吾に手渡す。こたつの上に広げられていたプレゼント達は部屋の隅に片付けられ、かわりに牛乳の入ったグラスとスプーンがきちんと並べられていた。
いただきますと手を合わせ、2人同時に食べ始める。
「おばちゃんのカレー、すげぇ好き。毎日食べても飽きないな」
嬉しそうに笑う省吾につられて晃も笑う。
「ばか、俺が飽きるわ。大体省吾の母ちゃんの方が、何作っても美味い」
「母ちゃんのご飯も美味いけど晃のおばちゃんが作るカレーは特別なんだよ」
「どこが」
「なんかちょっと甘いし」
それは多分省吾用に、甘めに作ってあるからだと、晃はこっそり心の中で呟いた。
「晃、受験勉強しなくていいのか」
「俺が行くとこなんて最強にバカ高だぞ、落ちるわけないんだよ」
「そっか」
「あっさり納得するなよ、どうでもいいけどなんかムカつく」
「いいじゃん、晃はどこいってもモテモテだろ」
「それこそどうでもいい話だな」
あっという間に皿を空にした省吾は、おかわりをよそいに台所へと消えた。
どうでもいい話。
晃は口の端だけで笑う。
(俺にとって大事なもんは、ほんの少しでいい)
一杯目よりも山盛りによそわれたカレーライスをガツガツと食べる省吾を見て、あいかわらずガキンチョだなと、晃は目を細めた。
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