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早朝。いつもより早く起きたら(というか眠れなかった)、鳴上の姿はすでになかった。
鳴上はムカつきはするけど、俺の知る限り最高の執事だ。そんな鳴上がこの時間から仕事をしているのなら、俺だってやってやる。そう思った俺は、執事長の元へ仕事はないかと尋ねに行って、現在、階段を掃除中だ。
厨房でシェフに朝食の指示を出していた五十代のおっさんが皇家の執事長の村上。
昔から俺のことを知っているもんだから、俺に仕事をさせることに抵抗があるようで、こんな早朝から働かせられないと渋る村上からなんとかもらえた仕事は......また掃除。
執事の仕事は掃除だけじゃない。それなのに俺に回ってくるのは掃除ばっかり。少し気に入らないが、自分の無力さが原因ならばとっとと認めてもらえるようにしっかり働こう。
......そして早くここから出て行こう。
そう決意して、俺は黙々と作業に取り掛かっていた。一段やったらまた一段。それを繰り返していると、不意に背後から声がする。
「おい、もう体調は大丈夫なのかよ」
「うわあああ!」
今一番会いたくないやつの声に、俺は過剰反応してしまう。そしてここがどこだか忘れて相手を思いっきり押しやってしまった。
「寄るな変態!!」
「は?って、おい、そんな押したら......」
俺の方が下の段にいて、相手は押してもビクともしない。ということは、バランスを崩すのは俺なわけで。
......やば。この階段高いから痛そうだ。
なんて考えながら、手を伸ばす賢斗を冷静に見る。
ふっ、すげー必死な顔。
ちょっとカッコいいじゃないか。なんて思ったりして、俺の視界は暗くなった。
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