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「しゅーや」
「......」
「修弥くーん?」
「......」
「おい、修弥」
何度も呼びかけに無視していると、声を鋭くした賢斗が俺の両頬を片手で掴んでくる。
「なんらよ!!!」
きっと不細工な顔になってて、言葉も上手く言えない。けれど賢斗は手を離してくれなくて、俺は睨みつけた。お預けされた悔しさと恥ずかしさで、俺は今超絶不機嫌なのだ。
「相談なら、あんな教師より俺にしろ」
「え......?」
俺が首を傾げれば、賢斗は「何で分かんねえんだよ......」と言い、俺の顔から手を離して話を続けた。
「瑞希はな、一年半前......お前が音信不通になった頃にうちに来たんだ。雨の日にふらふら歩いてっから声を掛けたら、帰る家がないって泣いてて、仕方なく家に連れて帰った」
「......」
想いが通じあったといえども、いやだからこそ、賢斗に弱みは見せたくなくて、悟られないようにしてたのに、どうやら瑞希について悩んでることに気づかれていたらしい。
顔に悔しさを滲ませた俺の頭を賢斗が優しく撫でる。
「そしたら家事は完璧にこなすし、性格も良いし、ってことで雇うことになった。多分前にも同じような仕事してたんだろうな」
あいつは絶対に言いたがらないけど。と賢斗は言葉をつなげた。
「まあ、詳しいことは本人に聞け。俺もよく分かってないし。......で、ここからが本題」
「本題?」
「それから瑞希は俺の専属になったわけだけど、俺とあいつの会話の内容は、ほとんど生意気な幼なじみの話」
「は?」
「何度もお前の携帯に電話を掛けてる俺を見て、誰に掛けてるんですか?って」
賢斗はケラケラと笑っているが、俺には嫌な予感しかしない。
「その時、俺もお前に避けられて相当苛立ってたから。言っちまったんだよなー、俺のバカな幼なじみ、一ノ瀬ホールディングスの一人息子の性格を」
「お、おい......それって......」
俺が今まで使用人にとってきた態度も含まれているはず......ってことは......。
その答えは、本当に俺のこと好きなのかと疑うくらい悪い笑顔の男が教えてくれる。
「だからよー、瑞希がお前の友達ってポジションに不安を感じても......おかしくないよなぁ?」
......最悪。
どうやら瑞希が俺を避ける理由は、俺の性格にあったらしい。
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