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鳴上ならてっきり、ちゃんと仕事を全うしろとか言うかと思ったのに、その予想は裏切られてしまう。
「ここ最近、修弥様は働き詰めですから、よろしいのではないでしょうか」
「え......いいのか?」
「はい。たまには休息も必要でしょう。賢斗様、お心遣い感謝いたします」
頭を下げた鳴上に、賢斗は笑顔のまま、ますます顔を引きつらせた。
「いえ。大事な修弥のことなんで、鳴上さんが頭を下げる必要はないですよ」
「......それは、失礼いたしました。差し出がましい真似でした」
何だこれ。
今すぐ出て行きたいくらい、部屋の雰囲気が悪い。
え、こいつら仲悪かったっけ?
この間の車の中でもちょっと雰囲気悪かったけど、別にもともとは普通だったよな?
「では、車の用意をしてまいります」
そう言って、部屋から出て行こうとする鳴上だったけど、すぐに賢斗に止められる。
「今日は俺がするんで、大丈夫です」
「え、賢斗、運転できるのか?」
「ああ。つっても、まだ高校生だし、バイクだけどな」
「......かしこまりました。では、修弥様のお着替えを用意致しますので、少々お待ちください」
鳴上がクローゼットの方へ向かうと、賢斗が俺の頭を撫でてくる。
「じゃあ修弥、外で待ってるから、準備終わったら来いよ」
「分かった」
賢斗が出て行き、鳴上が用意してくれた服に着替えるべく、ネクタイを外そうとしたけど、手が止まった。
「あ......これ、どうしよう」
タイピンってどこにしまえば良いんだろう。
小さいからすぐ無くなりそうだし......。
「先ほどお渡しした箱が、専用の収納ケースとなっておりますので、そちらにお入れください」
「あ、そうなんだ」
言われた通りに箱にしまって、着替えを続けた。
鳴上が俺に物のプレゼントなんてくれたのは初めてで、つい頬が緩んでしまう。
......大事にしよう。
そう思った。
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