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「……な、なに?」
「僕、侑太郎のこと好きだよ」
……俺のことが好き?
そういえばそういうことは、言われたことなかった。でもなんで、こんな改まって言うんだろう。
さっきまで穏やかだった空気が、張り詰め出す。
俺の髪を弄る奏英の手に、首を絞められるような気がして唾を飲み込む。俺はなんて言えばいい。奏英はなんて言って欲しいんだ。
「……な、なんで…?」
「……まだちょっと、僕のことが怖いみたいだけど、受け入れようと頑張ってくれてるのわかるよ。そんな人、今までいなかったから」
受け入れようと、頑張ってる…? 俺が…?
そんな自覚はなくて、奏英の言葉に驚いて固まる。
「だから、足の拘束外してあげるよ。手はまだ、外せないけど」
「えっ……!?」
「逃げないって、約束できるなら」
まさかの展開だ。
奏英が勝手に勘違いして、勝手に信頼してくれたらしい。足が自由なら、できることはたくさんある。
「わ、わかった! 約束する!」
「じゃあ、指切りげんまん」
「えっ……わ、わかった…」
まるで子供のように、指切りげんまんの歌を歌い、小指が離れる。
すると奏英はリビングからナイフを持ってきて、俺の足首を縛る縄を切ってくれた。
…ついでに、手の拘束も外してくれたらいいが、それは欲張りすぎだろうか。
ようやく自由になった足をぶらぶらさせると、あまりの開放感に笑いが漏れた。
「ははっ…はぁ……やべぇ…!」
ああ、足が自由に動く。左右バラバラに。
あまりの嬉しさにベッドから立ち上がってみるが、しばらく歩いていなかったからかバランスが取れずに床へ崩れ落ちてしまった。フローリングの床に膝をつき、苦笑する。
すると、倒れた俺の腰にスッと背後から腕を回され、ゆっくりとベッドへ戻された。
そのまま俺の目線までしゃがんだ奏英の顔は、見たことないくらい、悲しい顔をしている。
「奏英……?」
「……君の笑い声、初めて聞いたよ」
「………あ、ああ…そっか…」
「……ごめんね侑太郎。僕は、君を悲しませることしかできないね……」
その言葉に驚く暇もなく、奏英の腕が俺の身体を抱きしめる。
「っ……」
なんで?
どうしてそんなことを俺に言うんだ。
俺を誘拐しといて、今まで色んな奴を殺しといて、犯罪者のくせにいい奴ぶってんじゃねぇよ。
そうだ。テメェは人を悲しませることしかできない犯罪者。今更気付いたのか? わかってんならさっさと警察行って自主してきやがれ……!
「侑太郎……好きだよ」
耳を塞ぎたい気持ちを必死にこらえていると、奏英の体が少し離れた。間近に奏英の顔が迫り、押し退けたい気持ちを堪えて無理やり目を閉じる。
「ん………っ…」
まるで体の中を犯すような奏英の口付けは、何度やっても慣れないようだ。
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