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73 ※R18
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いつもの寝室に響く、聞き慣れない振動音。
元々そのつもりだったのか、鞄から取り出されたローションを下半身にぶっかけられると、押し込まれるように肌色のバイブが挿入された。
足を蛙のように開かれた状態でガムテープで巻かれれば、俺は何もできない。
奏英はここまではしなかったな……なんてどこか冷静に思いながら、ベッド脇で黙って腕時計を見つめる竜也さんを恨んだ。
「ンッ……んっ、ぅ……!」
「……なんか言った?」
最初から、このつもりで来たんだろう。
俺を騙して、餌にするために。
喋れない分、めい一杯の恨みを込めて睨みつけてやった。
しかし竜也さんは、こんな機械なんかで感じてしまう俺を、冷めた目で見下ろしてくるだけだった。
「……君は、あいつと何回やったの?」
「ッ………ン、ふ」
「女みたいに抱かれて、喘いで、気持ち良かった?」
そんなことない、なんて反論できない自分が嫌だった。もう俺の体は、奏英を受け入れることに慣れすぎている。今だけは、口が塞がれていることがありがたかった。
しかし、そんな俺を見透かしているのか、竜也さんが小さく笑う。それから、俺の宙に浮いた足を撫でた。
「奏英が好き?」
「っ…………」
「それとも、奏英に犯されるのが好き?」
うるさい……喋んな……!
「けつの穴、ぐちょぐちょだ。すごい勃ってるし……触ってあげようか?」
「ンンッ……!」
「え? 奏英じゃないとやだって? おいおい、どんだけ洗脳されてんだよ……」
そう言って、竜也さんは、耐え切れないとでも言うように俺に覆い被さった。驚いて暴れていると顎を掴まれ、じっと見下ろされる。
「ーーー」
竜也さんが呟いた瞬間、ぽたり、と頬に何かが落ちた。
「っ……ごめん……」
「…………」
竜也さんは、すぐに身を翻して背を向ける。しかし俺は見た。竜也さんが泣いているところを。
そして、聞いた。唇が囁いた名前を。
裕也、と。
『ただいまー』
場を切り裂くように、奏英の声が耳に届いた。
その瞬間、竜也さんがすっと立ち上がる。「ンン!」と喉から叫ぶ俺に向かって人差し指を立てながら、下半身に突っ込まれているバイブを足で蹴った。
「ンッぐ……!」
さっきの悲しげな背中は微塵もない。
それから、竜也さんは寝室の扉をゆっくりと閉め、俺は一人ベッドの上に残される。
あの男が何をするつもりなのか、想像がついてしまうのが嫌だった。
『侑太郎? 寝てるの?』
帰って早々、俺を探す奏英の声が近づいてくる。同時に、スタンガンを握り締める竜也さんが頭に浮かんだ。
どうにか奏英が避けてくれることを祈っていると、唐突に電流のバチっと言う音が聞こえた。同時に、ばたりと地面に倒れる大きな音。
「ンッ……!」
いや……奏英が、やられるはずない。
きっと、返り討ちにしたはずだ。
そう思って耳を澄ませていると、呻き声が聞こえて瞠目した。
『ぅ……ッ、りゅう、や……?』
『地獄から戻ってきたよ、兄さん』
『いッ……!!』
ビリッと再び鳴った電流に、体が震えた。
奏英の弱々しい呻き声が聞こえる。それから、繰り返される電流の音。
……嘘だろ。あの、奏英がやられてる。
『な……っ、なんで…………』
『殺すなら最後まで確認しなきゃ駄目だろ?』
『っ侑太郎、……ッ!』
ビリリ、とまた電流の音と、奏英の呻き声が響いた。それと、鈍い、殴るような音。それは何度も何度も繰り返され、自分まで痛いような気持ちになって唇を噛み締めた。
恐らく、ギリギリ気絶しない程度の電流を流されながら、殴られているんだろう。体は痺れて動けない。まさに、地獄だ。
「ンンッーー!!」
『っ……侑太郎?』
声を上げると、辛うじて届いたようだった。すると、連続していた電流の音が止まる。
それに安堵していると、突然寝室の扉が開かれた。
そこには、心底楽しそうに笑う竜也さんの姿。
「出番だよ、侑太郎くん」
「ンンっ、んぅ!」
「う……ッ!」
蹴られて寝室まで転ばされた奏英は、俺の姿を見て絶望に目を見開いた。
「っ……竜也……侑太郎に触ったら、今度こそ殺すよ……」
「なんの脅しにもならないな」
その通りだ。
今の竜也さんには、奏英への復讐しか頭に無い。
竜也さんはベッドに上がると、突然、下半身のバイブを掴み、更に奥へと押し込めた。
「ンンンーーッ!」
「っ竜也!!」
「うわぁ……すごい奥まで入る。これ兄さんがやったんだ? ……酷いことするなぁ」
言葉とは裏腹に、竜也さんはバイブを抜いたり、押し込んだりを繰り返す。その度にびくびくと震えて、感じてしまう体が悔しくて、涙が出た。
全然、きもちよくない。こんなの、痛いだけだ……。
「竜也……それ以上、侑太郎に触らないで……」
「奏英、ちゃんと見てろよ。……お前のやった事と、同じことしてやるからよ」
奏英のやったことと、同じ……。
その瞬間、頭の中にある映像が浮かんだ。奏英に見せられた最初の男の子。何度も何度も夢に見た、まるで地獄のような光景。
「お前、見せてくれたよなぁ。"裕也くんが動かなくなった、どうしよう〜"なんて電話してきてよぉ……あの時、お前を殺してれば良かったよ」
「っ……」
竜也さんは急にバイブを抜き去り、床へ放り投げた。
ぽっかりと穴が空いたように閉じない後孔が気持ち悪い。そこは、俺の意思に反して、ヒクヒクと代わりの物を求めるように疼いている。
奏英は、竜也さんが何をするつもりなのかようやく理解したようで、ただ絶望した表情を浮かべた。
「んぅ、ッンンーー!」
……嫌だ。
あんな……あんなこと、されてたまるか。
俺は、関係ねぇだろ……!
恐怖や怒り、奏英への失望など、色んな感情が溢れて、同情を乞うように涙が零れていく。
しかし、目の前の男は眉ひとつ動かさずに告げた。
「ごめんな、君は運が悪かっただけだ」
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