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トイレの恋神様!(不良×平凡)
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俺はとある男子校の2年生、山田公太(やまだ こうた)。今日は俺が日直だったから、友達には先に帰ってもらって、生徒の減った静かな放課後、教室で一人日誌を書き、担任の先生に出しに行った。さあ帰ろう、という時になって、不運なことに急な腹痛に襲われ、慌ててすぐ近くのトイレに駆け込んだ。
「ふう…」
個室トイレで腹痛との格闘に勝利し、ちゃんと流れたのを確認。でようと思ったら、何やらトイレに入ってくる足音が聞こえてきて、ふと思いとどまる。個室トイレから出た時に、見知らぬ人と鉢合わせるのはなかなか気まずいのだ。向こうが用を足して出て行くか、個室トイレに入ったら出て行こう。そう思って立っていたのに、なぜか足音は段々こちらに近づいてきて、そしてピタリと止まった。
「…、トイレの恋神様ってのがいるなら、聞いてくれ。」
声は明らかに、俺の目の前の扉の、向こう側からした。何事かと目を白黒させながら、自分の存在がばれないように、息を潜め、身をかたくした。なぜなら、その声の主が、明らかに、俺のクラスメートであり、不良、橘龍平(たちばな りゅうへい)だったからだ。
俺は別に、橘が不良で怖いから出ていけなかったのではなかった。彼は、不良とは言っても、まあ人よりサボリ魔で、たまに外で喧嘩をして怪我をしてきたりだとか、派手な化粧をした女の子を侍らせていたりだとかはするけれど、1年間クラスメートで居て、何か迷惑を被るようなことをされたことは、一度もなかったからだ。
だから、俺は周りと一緒になって橘を遠巻きにすることはなかったし、むしろ関わる機会があれば普通に会話をしていた。それならば、なぜ、俺は今、橘の前に姿を現すことを躊躇い、こうして存在を消しているのか。
それは、俺が橘のことを密かに好きだからだった。学校行事やら何やらで、少しずつ関わってきたのだが、ある時、会話の途中で、橘が自分に向かってふっと微笑んだことがあった。普段無愛想で強面な橘のそれを初めて見た瞬間、俺はまるで雷に撃たれたような衝撃を受け、そうして橘に恋をしてしまったのだ。
そして今、その橘が、トイレの恋神様?とやらに何か話をしに来た。…何かジンクスでもあるのだろうか?そういった噂に疎い俺にはわからないが、このまま聞いていれば、橘の好きな人がわかるかもしれない。…まあ、要は失恋させられるわけなのだが…、知りたかったんだ。橘がどんな人を好きになるのかを。
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