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「成田くん、明日って出勤できる?」
バイト先のスーパーで店長にそう訊かれて、反射的に大丈夫ですと小さく返事をする。
「急で申し訳ないけど、インフル流行ってて欠勤するパートさん多いんだよねぇ…本人が大丈夫でもお子さんがなっちゃうとアレだしね…。」
俺には全く関係のない事情を、さも大変だと言わんばかりの口調で大げさに語るのに嫌悪感を覚えながら顔には出さないように笑って流す。
「ホント、ただでさえ連勤してもらってるのにゴメンね。じゃあ、明日10時からよろしく。」
休憩室から出て行く店長の後姿を見送ってからダウンを羽織って。
はぁ…と漏れそうになった溜息を飲み込む。
別に、嫌なら適当な理由を付けて断れば良いだけの些細な出来事。
でも俺はヘラヘラ笑って引き受けて、不満や不調を受け流す。
そうやって、いつの間にか溜まったマイナスの感情が抑えきれなくなって結局最後には逃げるんだよ。
そうやって、高校も辞めた。
今まで、いくつものバイトを辞めた。
何人もの友人と疎遠になった。
何人もの恋人と別れてきた。
解ってるんだよ。
自分が悪いって事はね。
ただ、こんな自分が嫌だって思ってみても変われないだけ。
変わるすべも知らないし、その努力ももう面倒だから。
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