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固まっていると、周りのヒソヒソ声が鮮明に聞こえた
「どういうことだ!?」
それは此方のセリフだ
「クウリ様、今あの平凡を父様って……」
こいつの名前、クウリっていうのか……というか何で様付けされてるんだ?
「書記と平凡…平凡受けきたぁ!!」
…最後のどういう意味だ?
とにかく、状況を整理しよう
つまり、目の前の生徒は俺が生まれ変わりだと知っている…というか、落ち着いて考えてみれば父様と呼ぶ魔族は一人しかいない
よく見たら、何故気付かなかったのか。そいつは、成長すればこんな顔になっていただろうと思える顔をしていた
「お前も生まれ変わっていたのか?クウ」
名前を呼ばれて、クウリ先輩はビクリッと体を震わせた
クウはノイズと魔王だけが使っていた愛称で、正確にはクウリュート
まだ10才だったクウを見つけ、此方に引きずり込んだノイズの仲間であり、唯一の家族だった魔族だ
拾った後一緒に魔王に遣えていたのだが、どういうわけか殺そうとしてきた
勿論殺されるわけが無いのだが
勇者の仲間になった後は、何度も目の前に現れては許しを乞うてきたが、勿論許すわけがない
確か…最期は俺を庇って死んだな…
しかし、だからと言って水に流せるわけがない
「よく俺の前に姿を見せれたな」
言うと、信じられないものでも見るように目を大きく見開き、瞳を潤ませはじめた
「約束…覚え…ない…?」
約束?
「許すって…また家族…なるって…」
魔族は絶対に嘘は吐かない
…ということは約束をしたのだろうが、困ったことに全く記憶にない
首を傾げるクリアに、うるうると涙が盛り上がってきたので、必死に記憶を探る
約束…約束?………あ……
クウがノイズを庇い瀕死の状態になったあの日、死ぬ前にクウが聞いてきたんだった
ー「父様…生まれ変わったら……また…家族…に…してくれる…?」ー
それで、生まれ変わりなんて信じてなかった俺は…
ー「あぁ。生まれ変われたらな」ー
……したな、約束
できる筈ないと思って約束したが、まさか本当に生まれ変わるとは…その執念の強さに感心してしまう
ハァと息を吐いたクリアは、泣きそうになっているクウの頰に触れ、微笑んだ
「大きくなったな」
「…!」
ギュッと抱きつくクウの背をポンポンと叩く
しかし大分目立ってしまった…恐らく悪い意味で…
突き刺さってくる鋭い視線に、重い溜息を吐いた
**********
漸く落ち着いたクウは、名残惜しげにしながらも俺から離れる
そして、周りの刺すような視線に気づいた
「周り…適当…事情。…安心…」
適当に事情を話すから安心して…か…
生まれ変わっても、どもり癖は直っていないようだ
慣れているから俺は聞き取れるが、他は聞き取れるのだろうか?
ちょっと信用できなかったが、お言葉に甘えて全て任せることにした
急いでグループを追う
例のグループは、この騒ぎで足を止めていたようで、簡単に追いつくことができた
合流すると、かなり興味津々で見られたが無視する
すると、隣にいた赤髪の生徒が声をかけてきた
「なぁ。これから気をつけた方がええよ」
「何故?」
「クウリ様には親衛隊がついとるからや。知らんと思うから教えるけどな、親衛隊は…まぁ過激なファンクラブみたいなもんでな。過激すぎて、親衛隊でないただの生徒が下手に近づこうもんなら制裁されてまうんや」
「制裁?」
「過激な苛め、殆どは強姦やな。今は風紀委員のお陰で強姦は無くなったみたいやけどなぁ」
成る程…つまりクウは人気者で、そのクウと抱きしめあった事で目をつけられた可能性があると…
「大丈夫か?」
「そうやなぁ…取り敢えず、持ち物は全て持ち帰った方がええと思う」
「いや、俺のことではなくて…」
「??」
下手に襲われたら反射で反撃しそうで怖い…手加減できるか??
「そういえば、かなり詳しいな。同じ新入生だろ?」
「まぁな~ww」
ふと気になって聞くと、青年はヘラヘラ笑って言った
変な奴
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