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クリアは限界を感じていた
「だ、大丈夫か…?」
「…ゼェ……ハァ…」
「もう俺らこれで終わりなんやけど…」
「ゲホッ……ハァ、ハァ…」
「まだクリア、校庭1周しか走れとらんやんけっ!!」
「グフッ…」
バタッ
「クリアーーーー!?!?!?」
何をしているのかと言うと、体育でウォーミングアップとして校庭3週走らされていた
クリアは元々負けず嫌いなところがある
これでも頑張ったのである
しかし普段は引きこもり、外に出たとしてもすぐに魔法で移動していたクリアが出来るわけがなく…
「お、おい!大丈夫か!?」
「だから言ったやないですか!!クリアは教室から大広間までたどり着けんかったんや!校庭3週なんて、できるわけないっ!!1周できただけでも奇跡や!!」
まともな筋力がないクリアは、校庭1周で力尽きた
これには体育教師であるキーツは頭を抱えた
因みにこのキーツという体育教師は、寮決めの時にクリアにヤクザだと思われた教師である
魔力の多い者は高確率で本の虫になる傾向であり、体力がない
しかしこれは酷すぎる
一周で倒れる生徒はこれまで見たことがなかった
これから行われる体力測定に不安を感じる
しかしやらなければいけない…何故ならば!
「これから行う体力測定は、お前達にどんな武器が合っているのかを調べる指標になるものだ。瞬発力や俊敏性が高ければ双剣や弓。筋力が高ければ大楯や大剣といった感じだな」
1人の生徒が手を挙げた
「希望していた武器と合わなかったらどうなんですか?」
「合わないのであれば、足りないところを鍛えればいいだけだ。しかしあまりオススメしない。何故なら今現時点で適合した武器がお前達にとってのベストだからだ。…まぁそれは実際に手にして動いた方がよく分かるだろう。では始めるぞ!」
生徒達はゾロゾロ動き出したのだが、ふと、服の裾を引っ張られ横を見ると、ツバサが申し訳なさそうに眉を下げながら此方を見ていた
「…あのう」
「どうした?」
「その項目って数十個もあるんやけど、クリア、全てできんと思うんです」
そして向く目線の先にはいまだに動けないでいるクリアの姿が…
「あー…そうだな。体力の無さは測定を行う前によく分かったから、体力を過剰に消費するものは省かせようと思ってる」
「ほんまですか?それを聞いて安心したわぁ…。シャトルランちゅうもんも入っててもう心配で心配で!」
心底安心するツバサに、お前はクリアのお母さんか?
と、心の中でキーツは思った
しかし時計を見て言いたい言葉をぐっとのみこむ
体育の授業は3時間とってあるが、数十個の項目を終わらせるには全く時間が足りないのだ
この身体測定により生徒一人一人に合ったメニューを考えないといけない為、できれば今日中に全て終わらせておきたいのである
「早く並べ」
「あ、その前にクリアに水分補給摂らせてもらってええですか?汗が凄くて」
一瞬目を離した隙に、持参したであろう水筒やタオルを手にしているツバサに、眩暈を覚えた
「おい!鞄も持ってないのに、今この一瞬で何処から取り出した!?体育の授業なの分かってんのか!?!?もう分かったから、お母さんしてないで、さっさと並べ!!」
**********
3時間後…
こうして全ての項目がなんとか終了したのだが、キーツは結果に驚愕していた
この学園に教師として働いてから早5年
目を疑う程に能力が突出した者を何回か見たことがあるが、ここまで落ちこぼれた者は見たことがなかった
というか、すげぇなこれ
反射神経はある。というか高い
なのに体力と筋力が無さすぎて、全く活かせていない
どの武器も差はあれど体力も筋力も使う
何が言いたいのかと言うと、全ての武器に適正なしという結果が出た
「予想通りだな」
横から見たツバサも驚愕し言葉を失っている中、1人クリアだけはさも当然という顔で頷いている
その様子にキーツはブチギレた
「なあぁにが予想通りだな(キリッ(`・ω・´)!)だぁ??誰の結果だと思ってんだ!舐めてんのか?ゴラァ!!」
「え、そんなキリッ(`・ω・´)!とした顔はしていな…って、痛い痛い痛い頭を鷲掴みするな!!離せ!!!」
「ちょっ!?先生、何しとるんや!!」
「うっせぇっ!!この結果に対して、どんなメニュー立てればいいんだよ!テメェふざけんなよ!?毎回このイベントで寝不足になるっていうのに、一体どれだけ俺の睡眠時間を奪う気だ!?」
(((先生って大変なんだな…)))
それを聞いた周りの生徒は同情した
その日から、こっそり珈琲の差し入れをする生徒が続出したという
そしてクリアは放課後に特別メニューを行うことが決定したのだった
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