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枷が外れたように。
掠れた声は必死さを物語って、それでも手を伸ばす。
「ここにいてっ‥おれと‥おれといてっ」
「‥」
「おねが‥お願いっ1人はイヤっ!稔さんっ」
「‥」
泣き叫ぶような震えた声を出す俺は‥醜く映ってるんだろうか
それでも‥涙はもう止まらなかった
「っ稔さん‥稔さん俺‥っ!?」
肩を掴まれて体が離され目が合った
「‥あっ」
目が合った瞬間‥光を失ったような感覚に襲われた
暗さと涙で表情は良く見えないけど‥水分を含んだ瞳が鋭く俺の言葉を跳ね返す
「あ‥ごめっなさい‥」
もう駄目だ
俺‥もう駄目だ
「ごめ‥ごめんっなさっ‥っ」
もう嫌だ
もう駄目だ
だって俺は稔さんに言った
終わりにしようって‥
そう言った。
「‥っごめんなさいっ‥っ‥ごめ‥っおれ‥あっ‥あッ‥ごっめ、なさっ」
無意味な謝罪は自分自身を突き刺す刃になり、何度も何度も‥己の心を切り裂いていく
こんな我が儘‥通用しない
許されない
離れる事を選んだのに‥
側に居てだなんて
自分勝手にも程がある
でも‥でもさ
俺‥
こんな世界で‥生きていけない
分かったんだ
稔さんが好きだと認めなかった俺は、離れる事で稔さんを好きだと認めた
認めた所で遅いし‥意味なんて無かったけど
でも稔さんが側に居なくても簡単に過ぎてく日常がたまらなく嫌だったよ
稔さんの居ない‥こんな毎日を‥1人で生きていきたくなんかない
本当は光なんて無かったのに
夢のせいで‥
口から零れてしまった心は
どうしようもないくらい
儚く‥脆く
醜く汚い自分をより濃く浮かび上がらせ
突き付けられたら現実に
絶望と喪失感だけが俺を支配した
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