アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
38
-
「っ!?っはあっは‥はあっくっ‥ははっはあっ」
思い切り目を開けると自分の腕が見えた
俯せで寝たままの体制
「‥っ‥はっはあ‥あ‥はあっはあ」
息が出来なかった
苦しかった
「っ‥う‥っん゙‥はあ‥っ」
今も苦しくて
入りたての記憶は真新しい身体に良く馴染む
目を開けた瞬間から流れていた涙は体を起こした事でポタポタとシーツに音を立てて染み込んでいく
意味の無い涙だ
戻りたての感情に驚いてるだけで
自然な涙なんだ
だから悲しくもなんともない
だけど何故か‥胸の痛みが無くならずシーツを掴めば幾つもの皺が寄った
「!?」
ガチャガチャと。
玄関先で音が聞こえてビクリと体が震えた。
咄嗟に時計を見れば夜中の二時半を回る頃。
こんな時間に‥泥棒か?
「っ‥だ、誰っ‥」
「‥」
ワケも分からず入ってきた人影に声を掛けるも、バタンと閉まったドアの音と被り掻き消されてしまった。
「永久?」
「!?」
暗闇の中近付いてくる影は俺の名前を呼んだ。
声を聞けば誰かなんてすぐ分かる。
「‥みっ‥のるさん」
呼ばないと決めた名前が‥口から零れ落ちてしまった。
うまく動かない体が俺の思考の邪魔をする。
「‥裸でなにしてんの?」
「‥」
睡魔に襲われ風呂上がりパンツ一枚でベッドに体を預けた。そのまま布団も掛けないで寝ていたせいで、体は冷え切り感覚も麻痺している。
パンツ一枚で泣いてる俺
だけど正直それどころではなく、どうしたらいいか分からなかった。
逃げ場のないこの場所で
夢の内容が尾を引く俺は
頭が空っぽの状態から進まない
「‥っ‥‥タイミング悪すぎっ」
まだ整いきらない息が微かに肩を上下させ、苦し紛れに小さく呟いた。
「‥」
「?」
部屋の出入り口で足を止めていた稔さんは早足で近くまで来た。
ベッドの脇でしゃがみ込み、俺の顔を覗き込んでからそっと手が伸びてきて頬の涙を拾う。
「体‥冷たい」
「っ!?」
いきなり立ち上がった稔さんはすぐ側にあった布団を掴み、俺の体を布団でくるみながら目の前に座って布団ごと俺を抱き締めた。
「なんで裸で泣いてんのか知らないけど、風邪‥引くだろ」
「‥っ」
「暖めてるだけだ。大人しくしてろ」
「あっ‥み‥稔っ‥さん」
「‥」
「稔さっ‥っ‥みっの‥るさっ」
頭から布団にくるまれたせいで、稔さんの顔を見る事も出来なければ身動きもとれない。
内側から布団を握り締める指先に体温が徐々に戻ってきてじんじんと痺れさせた。
「稔っ‥さんっ」
「‥そんなに呼ばなくてもここに居るだろ?」
「っ行かないで‥どこにもっ!いかないで‥そばにいてっ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
38 / 69