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「おはよーっ!」
「おー、はよっ」
「おはよっ」
新学期。
黒板に貼られたプリントを見ていると、壱と桃の到着。
「永久生き返ったね!」
「?」
「んーん!何でもなーい!」
ふふっと笑う壱の隣からひょっこりと伸びてくる桃の跳ねた髪。
「何見てるの?」
「あぁ、クラス替え。このクラスに行けってさ」
「ふーん。永久何組だった?」
「三組」
「あ、オレも三組だっ!一緒だねっ」
「おー‥」
にぱっと笑う桃にちょっと癒された。
けど問題はこっちじゃなくて‥
「っ‥‥」
「いっちーは何組?」
「‥‥」
「二組だよ」
「っ」
「いっちーだけ二組?離れちゃうのやだなあ」
「っっ」
グサグサと刺さっているらしく壱はぷるぷると震え今にも泣きそうな‥っていうか泣いてらあ。
「おっおれ!訴えてくるっ!
まだ間に合うよっ、オレ絶対嫌だっいやっ‥こんなに仲良ししてるのにっ離すなんて先生もどうかしてる!何かの間違いだろっ何故っ!何故なんだあああああっ」
頭を抱え座り込みこの世の終わりを叫ぶような断末魔
「決まったクラスは変えられないだろ。行くぞ」
「酷いっ!冷たい!
永久は桃と一緒だから平気で居られるんだあっ!オレなんかっ、オレなんか居なくてもいいんでしょっ!ズズっ」
まるで俺が虐めてるみたいな言われよう。
あぁ‥学校が始まった‥
そう思わせるようなこの光景。
「そうじゃなく「そうかっ!AVの良し悪しを語り合った仲じゃないからいけないんだねっ!桃とはもう一緒に見たの?まっまさか扱き合いとか?‥おっオレも混ぜてっ!!!」‥‥」
俺、絶句。
そしてキラキラした目‥
あぁ
稔さんがしてた目はコイツのこれと似てたのか。
「桃‥さっさと教室行こう。馬鹿に構ってると脳みそ汚染されそ‥あれ?桃?」
居たはずの場所に居ない桃。辺りを見回してみても教室内にその姿は確認できない。
「あ、桃廊下に居るよ!」
「‥本当だ」
確かに廊下に居る。
が‥女子2人に、
囲まれてるとゆうかロックオンされてるというか‥
「餌付け?」
「あっはは!確かに桃ってたまにお菓子貰ってるよね!」
「‥」
その可愛い見た目から男女関係なく同級生や先輩から可愛がられてきた桃という男。
キャッキャと談笑するアイツに女の制服を着せてみたいなんて通りすがりの誰かがいつか言ってた。
「危ないよなー」
「無防備だし無自覚だよね!」
「‥あぁ」
壱にまで言われて、先が思いやられるよ緋崎君。
額に手を当て息を吐いてから教室のドアへと足を動かす。
「桃?‥あ、おはようございますユミ先輩、ショウコ先輩。すみません、お話中でしたか?」
開けるように片手をドアに掛けて、今気付いたように先輩にニコリと笑いかけて見下ろす。
押しの強いこの2人は桃が苦手とする先輩だ。
「っ永久君!おはようっ」
「新発売のお菓子が美味しくて桃太君におすそ分けしようと思って!あ、永久君にもっ」
「いえいえ、そんな美味しいお菓子なら先輩が食べた方がいいですよ」
「そんな!いいのにっ」
少し頭を傾けてニコリと目を合わせる。
「っ」
「じゃあ後ろにいる壱におすそ分けしてあげてください」
「え゙っオレっ!?」
珍しく静かにしているが後ろに居るのは知ってる。
「あ‥そろそろ新しい教室に行かないと‥」
「そ、そうだよねっ!ごめんね引き止めて」
「いえ、じゃあ俺達はこれで」
お辞儀をしてニコリと笑ってから背中を向ける。
「あっ、お菓子ありがとうございますっ!じゃあっ」
パタパタと俺の後を追ってくる桃が隣に並んだ。
「あ、ありがと永久!
あの先輩達ちょっと苦手で」
「へえ」
まあ知ってるけどな。
チラリと後ろを見れば案の定先輩に捕まってる金髪君が見えた。
アイツは世渡り上手だから心配いらないだろう。
「苦手な割に‥随分貰ったんだな」
両手に収まり切らないくらい乗せられたお菓子が一つコロンと落ちたのを拾いあげ封を開けて口に運ぶ。
「あ、ごめん。次々乗せられちゃって」
「ふーん。これ旨いわ」
「え、そうなの?オレにも頂戴!」
「‥」
両手に載せられたお菓子をズイっと俺に差し出し口を開ける桃。
両手が塞がってるから同じのを開けて食わせろという催促なのは分かったけど‥
「ん、ホントだ美味しいっ」
「‥はあー‥」
世話焼きな俺もどうかと思うよ?
正直‥危なっかしい桃の頭脳に合わせる形で入学したこの高校。
桃は馬鹿だが勉強はまあまあ出来るから、もう少し頑張らせてこの高校へ誘導した。
俺はもっと頭の良いとこも狙えたが、大学へ行く為の高校なんて堅苦しいだけだし‥ここは家から近かったから。
チラリと隣を見れば美味しそうにお菓子を頬張り音符や花を飛ばしてご機嫌な桃。
「まあ‥いっか」
「?何か言った?」
「馬鹿だなーって」
「俺馬鹿じゃないし!」
「やー‥馬鹿だろ」
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